残念な時帰呼が綴る 残念な感じのON>OFF生活


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こんにちわ(^0_0^)

未だに 仕事が再開されずに 家に籠って原稿書きとアンソロ本の編集作業三昧の日々を送っている時帰呼です。

とは言え、しばしば ぼーっとしてしまい 作業が思うように進まないのですがね…;;;www(泣笑)

春ですね…、桜の花も ようやく咲だしたようです。

『年年歳歳 花 おなじゅうして、年年歳歳 ひと同じからずや…』 だったかな←(うろ覚え)


毎年 散ってしまう花も 翌年には 寒い冬を通り抜け 暖かな日差しの中 満開の花を咲かせます。 だから 人は これほど桜という花に想いを寄せ 自分を重ね合わせてしまうんでしょうね。

今日より もっとマシな 明日という日が来る事が信じられなくて挫けそうになることも生きている限り 何度でも何度でもあるけれど、『明けない夜は無いし、降りやまない雨も無い。』

幾人もの人が そう歌い。 私達も 辛い時苦しい時に その歌を口ずさみます。


そうはいっても、ひとりでは 乗り越えられない苦しみ哀しみに落ちいる事もあります。

そんな時に 傍らに誰かが居てくれたら…


そんな感じのSSを書いてみました。

場面は イーリオンの奴隷小屋。 一日の重労働に疲れ果て 泥のように眠る奴隷たちの中、オリオンとエレフのふれ合い…。

ほんの少しばかり腐要素が有りますが、宜しければ 以下へ お進みくださいませ。














【月下にて…】



見上げると 仄白い月が中天に架かり 厩同然の奴隷小屋の破れた屋根の隙間から あざ笑うかのように見下ろしている。

昼間 奴隷頭と見張りの兵士にタコ殴リにされた青痣や傷口が 月光に曝され斑な文様を際立たせた。

 まぁ、いつもの事だ…

連中の顔色を窺いながら 上手く立ち回る奴もいる。 けれど 俺にはそんな事なんて出来はしない。まっぴらごめんてもんだ。

「いてててて…」

麦わらを薄く敷いただけの寝床は お世辞にも寝心地が良いとは言えなく、寝返りを打つたびに 彼方此方身体が痛み とても寝付けはしなかった。
明日も 陽が昇らぬ内からたたき起こされ、早朝から容赦なく降りそそぐ陽光に肌を焼かれながら イーリオンの町をぐるりと取り囲む城壁建設のためにこき使われ、文字通り死ぬまで繰り返される 無慈悲な運命の女神とやらに定められた日常が続くのだろう。

(眠らなくちゃ…)

先程まで、自分の上で 荒い息を吐きながら腰を振っていた髭面の太った奴隷男の凄まじい鼾が聞こえて来る。 あいつだって 一日中 重労働をしているっていうのに 何処にそんな余力が残っているのか? 毎度のことながら呆れるっていうか感心する。 どうやら、毎夜ゝ 代わるがわる俺の身体を貪りに来るあいつ等にとっては 性欲って奴は別腹らしい。

「眠れないのか…?」

隣で横になって もうすっかり寝入っていたとばかり思っていたエレフが小声で囁いた。

「ああ…」

どうにかこうにか、引き攣った笑いを浮かべながら返事をすると、月の薄明かりに照らされたエレフの顔に泣いているような苦笑いがあった。

どうした訳か あの奴隷男たちも エレフには手を出さない。 うん、随分以前に この奴隷小屋に奴が来た当初、俺と同じように 奴隷男に組み敷かれたこともあったが、そいつは 事の最中にウーンと一声唸ると泡を吹いて死んじまった。(所謂、腹上死ってやつかな?)

それ以来、エレフに手を出そうって奴は一人も現れない。 勿論 昼間は 俺と同じように大人達に殴られながら働かされているのは変わりないが どうやら奴には、焼きもち焼きの死神が憑いているって もっぱらの噂だ。 時折、奴の紫色の瞳に浮かぶ冷たい光りを覗き込んでいると、それも其れほど間違った噂話でも無いんじゃないかと思えてくる時が有る。

エレフの顔は微笑み、差し込む月明かりが反射した瞳には キラキラと涙が潤んで 今にも零れ落ちそうだったが、何処か ぞっとするような何かを感じさせた。

「大丈夫か…? 不細工ちゃん」

俺は無理やり笑顔を作ると いつものように からかい気味に訊いた。

「ああ、お前が大丈夫なら、俺も大丈夫だ…」

奴も 無理やり笑顔を作ると ニパッと妙な笑い顔になって言った。

(その調子だエレフ…)

辛気臭い顔をしているよりも笑っていた方が お前の不細工な顔も幾らかマシってもんだ。

俺は手を伸ばすと奴の頬に触れ 涙の跡を指でなぞる。

そうすると、無理やりだった奴の笑顔に 本来、奴の持って生まれた優しく暖かな光りが ポッと灯ったように見え、奴は俺の指先を両手で包み込み 優しく引き寄せると そっとキスをしてくれた。

(ありがとう…)

言葉に出せない どう表現して良いのか分からない感情が 俺の胸の中から 溢れだしそうになる…。


(エレフ…)

そっと、そっと、奴の肩に手を廻し ゆっくりと引き寄せると コツンと ふたりのおでこが軽くぶつかり、お互いに照れくさそうに笑うと そっと唇を重ねた。

その晩のエレフの唇は ちょっとだけ しょっぱい涙の味がした。




   【月下にて…】  了  


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