残念な時帰呼が綴る 残念な感じのON>OFF生活


総閲覧者数: 現在の閲覧者数:


上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
こんばんわ(^0_0^)
  
土日を ほとんど家に籠っていたにもかかわらず ほとんど作業が進展していない時帰呼です。
さきほど、ようやく SSを一本書き上げたので アップいたします。

とはいえ、今回アップするSSは 以前から書いている(私にしては)長編ストーリー【蒼き月 金色の竪琴】の 5番目のエピソードの そのまた第一話目という中途半端なお話です。

これまでのお話しは、このお話しと同名の 私の本館サイト『蒼き月 金色の竪琴』の方にアップしているので 宜しければ リンクから飛んで読んで頂けると とてもうれしいです。 

此処では 軽く設定などをお話ししたいと思います。
 
初めに お断りしておきますが このお話【蒼き月 金色の竪琴】は 原曲の『Moira』とは 一切関係ありません…が、 一応 イーリオンの最終決戦後、何処かへと姿を消したアメティストスことエレフの行方を捜す オルフを主人公とした 原曲の中にある『死人戦争』とは 何か? 黒エレフと化した 一切の希望を失った男は 何を成そうとしているのか? その二点を解明しようとして 益々 訳の分からない迷宮に彷徨いこんでしまった わたくし時帰呼の妄想から生まれた でっち上げ100%の物語りです。


たぶん、これを読んで 怒ってしまう方も居るんだろうな;;;

先に謝っておきます ごめんなさい(T_T:


其れでも、読んでみようという お心の広い方は 以下へお進み下さいませ。  
  




 【蒼き月 金色の竪琴 / 境界 その一】 




「妙な空模様じゃわい…」

西の空が 赤く燃えていた。

夕闇せまる時刻ならば 納得もいく。 だが…、

ミュロスは 歩き疲れた両脚が不平を訴えている事には 敢えて耳を貸さないようにしていた。
其れというのも ここ数日の間 日を追うごとに どうしようもない焦燥感にこめかみを焼かれる気がしてならなかったからだ。
此処を 早く離れねばならぬ。 一息吸うごとに肺の臓を浸食されるような息苦しく、其れは どれ程足を速めようと ますますひどくなってゆくからであった。 大気が まるでネットリとしたチャンのように重苦しく 闇夜に身に纏わり付く蜘蛛の巣のようにおぞましく感じられ、辺りに満ち満ちた腐敗臭は 数週間 水浴びさえしていない自身の体臭に慣れた鼻にさえも不快に思える。

奴らが永久の眠りから目覚め 巷を徘徊するには闇が必要な筈であった。 けれど、この瘴気溢れる【境界】の内側では それも当てにはならないようだ。 ほら、耳を澄ませば 辺り一面に群生する 見慣れぬ背の高い植物の影、あるいは 岩陰に 奴らが此方を窺う気配がする。

ミュロスも 独り旅を続ける以上は 護身用として手にした杖に刃を忍ばせていたし まだ若かりし時には 天下に名をとどろかせる腕前の剣士として諸国に知られていたのだが、どれ程鋭い剣を以ってしても 奴らを退ける事は出来ない。 今、分かっている奴らに対する対抗手段は 総てを焼き払い浄化する火の力を借りるしかないのだ。

とはいえ、ミュロスは 奴らの事には それほど恐れる必要があると思っていた訳ではない。 いざとなれば下草に火を放ち不浄の存在である奴らを滅することも出来る。 ミュロスが 真に恐れていたのは、奴らを地の底から呼び覚まし 朽ち果てかけた両脚に休みなき前進を命じている存在であった。


天を仰げば 銀盤の如き輝きを放つ太陽が見下ろしている。 時刻は そろそろ正午であろうか? だとすれば おおよそ四日間もの間 歩きづめに歩いて来た事になる。 既に老齢に差し掛かった この身にとって、体力の限界が近付いている事は明らかであったが 其の歩みを止める訳にはいかなかった。


******


「妙な夕陽じゃな…」

そろそろ店じまいしようとしていた老齢に差し掛かった男は 往来に広げた布の上に無造作に並べた霊験あらたかな護符を纏めながら呟いた。

今日も 売れ行きは芳しくない。 まぁ、其れも仕方なかろう、なにしろ 何処の神殿の後ろ盾もない妖しい物売りの扱う護符なのだ。(わしだったら こんなモノに大切な金を払ったりなどするものか)男は 自身の言葉に苦笑した。

思えば、以前の自分も 代々伝わる役職を当然の如く受け入れ、神殿の権威を利用しようとする愚かな王族やなけなしの金で神に縋りついてくる大衆の前で真面目腐った顔をして さも重大な出来事を予言するかのように 当たり障りのない当たり前のことを御託宣するという 今と比べても大差無い胡散臭い仕事をしていたのだから、あのころに比べれば がんじがらめの戒律に縛られる事の無いだけ マシな生活なのかもしれぬ。(もっとも、その戒律とやらに縛られた事など皆無に近いのだが…)男は 再び苦笑いを浮かべた。

それでも、若い時分…、そう まだ自分が二十代の頃は 多くの人々から尊敬の念をもって見つめられる輝かしい前途を信じていた。 かてて加えて 今となっては お笑い草なのだが、オリュンポスの山頂に住まうという神々の存在さえ信じていたのだから 我ながら呆れかえるというモノだ。

けれど、そんな戯言は すぐに有り得ぬ事だと知った。 どんなに身を清め神殿に籠り 祈りを捧げ 神の声を聞こうと耳を澄ませても 彼らは何も語らず、巷にあふれ返るのは 神の賢族などと嘯く王族という名の権力者同士の醜い争い そして 自分自身では 何も為そうともせず神頼みするだけで 戦乱に巻き込まれ 虫けらのように命を奪われ踏みつぶされて逝く愚かな民衆ども…。

少なくとも、神々は 死すべき者になど 目も耳も向けようとはしていない。 救済も導きも有りはしないのだ。

もし、神々が 我らに少しでも関心があるのならば…。

いや、今更 何も言うまい…、そんな事よりも あのころ自身の心を囚えていたのは 聖職者にあるまじき欲望、事に忌まわしいのは下腹の奥底から湧き出でる抑えきれぬ性欲が 我が身を焼き尽くすのではないかという恐れと自分自身への絶望だったのだから。


そうこうとして物思いに沈んでいうちに 陽は西に連なる山々の稜線に 其の身の半分を沈め、残照が男の顔を赤く染めていたが、間も無く それも闇色に染まってゆき 常の彼らしくも無い沈痛な表情も その頬に光る涙の流れた跡も見分けがつかなくなってしまうだろう。

往来を行く人々の姿も疎らになり 宵闇迫る中では ゆらゆらと揺れる朧な影になっていた。 そう…、まるで 地の底から這い出して来た幽鬼のように。

男は、小さく畳んだ布に包んだ護符をズタ袋に押し込み 痩せさらばえた背に担ぐと ゆっくりと歩き出した。(さて、今宵の宿と飯はどうしようか?)出来るならば 一杯の葡萄酒を飲んで せめて一時でも惨めな自分の境遇を忘れてしまいたがったが なにしろ、懐具合は いつものように お寂しい限りだ。 そのような贅沢は 夢のまた夢というモノだった。

ははは…、なんとも情けない話だ。 かつて勢の限りを尽くした 此の私が…

其の時、薄暗くなった足元に転がっていた黒い物に 考え事をしていた男は気付かずに躓き、荷物を背負っていたために 顔面から地面に為す術も無くドサリと倒れ伏した。

「痛たたたたっ! 誰だ こんな所に塵袋を…!」

擦りむけた鼻から夥しい血を流して 悪態をつきながら半身を起した男が手に触れた物は生温かくグニャリとしていて、既に 辺りはとっぷりと夜の闇に包まれ、眼を凝らしても良くは見えなかったが それが何かという事は察しがついた。

「ぎゃっ!? 死・し・死・死んで…!」

すると、手の下の襤褸切れのような服を纏った老人が ムクリと起き上がり横柄に言った。

「わしゃ…、死んでなど・おらんぞ…」

「ぎゃぁあ! しゃべった!??」

「あたりまえじゃ、わしゃ 生きとる。 ちと腹が減って 休んでいただけじゃ」

とても、そんな呑気な様子ではなかったが それならば早く離れて欲しかった。 なにしろ、鼻が曲がりそうな悪臭だ。 まるで数カ月も水浴びをしてないような…、いや、数百匹の魚が腐ったような…。

「臭えぇな! 爺さん!! 」

「爺さん呼ばわりは無いじゃろう? お前さんだって、充分 爺さんと呼ばれる歳だろうに!」

先程まで行き倒れていたとは思えぬ力で ぐいぃと男を押し退けると 老人は言った。

「臭いのは わしではないぞ…」

「なんだと!? じゃあ、臭いのは わしだとでも言うのか?」

「其れもあるがな…、そればかりとは言えんようじゃ」

老人の眼が 闇夜に光る猫のように油断無く辺りを見回した。



【蒼き月 金色の竪琴 / 境界 其の一】 …… to be continued.



スポンサーサイト
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。