残念な時帰呼が綴る 残念な感じのON>OFF生活


総閲覧者数: 現在の閲覧者数:

2017/051234567891011121314151617181920212223242526272829302017/07


上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
こんばんわ

印刷して製本作業に入りつつある時帰呼です。

本日、投下するのは 季節ネタ八月分、まさかの三話目です。

あはは~ 実は まだ続きがあったんですね。 このお話には WWW

というわけで、 よろしければどうぞ!


******



 どれ程 頑張ってみたところで 既に手遅れである事は 分かっている
どうして 人は 同じ過ちを 繰り返すのだろうか?

なに? 誰もが同じだと 思わないでくれだって?
いやいや 俺様だけではないはずだ 誰もが同じ経験をしているはずだ。

 どうにも成らない事を 朝からグダグダと 考えているうちに いつの間にか 窓の外は 真っ暗だ
なんてこった! ただでさえ残り少ない時間が また 無為に過ぎてしまった・・・
どうしたらいい? いったい どうしたら!!!?

「オ~リオン! オリオ~~ン!!」

また あの声が聞こえる もう隠れおおせる自信は無い。

 いっその事 アルカディアを捨て また 昔のような気ままな旅に出ようか?
ああ あの頃は 良かった そりゃあ 腹を減らして 野宿したり
ずぶ濡れになって 寒さに震えたりもしたさ


 けれど あの頃 自由だけは 両手に持ちきれないほど有った
それに 気の合う友達も居たし そいつの妹の可愛い女の子とも 一緒に旅してた。
こんなはずじゃなかったんだ 俺様の人生は!


「見つけたぞ オリオン!!こんな所で 何してる?」


「あああ スコルピオス殿下 奇遇ですね こんな所で会うとは!」


 俺様の隠れていたのは 普段 誰も近寄りもしない
ずいぶん昔に 王の側室が住んでいた部屋だった。


「奇遇なものか! 私は 朝から ずうっと貴様を 探していたのだ
 言いつけておいた 弓兵隊の部隊編成案と今後の訓練計画 それに部隊に支給する軍備費の予算案
 おお それと新兵の募集と応募状況は どうなっている オリオン!!」


「ええっと 殿下 実のところ 大変申し上げにくいのですが…」


 タラリ タラリと 冷や汗が滴り落ちる。
いつもの 少しばかりマニアックな東洋かぶれの殿下のほうが まだマシだ
なんで こんなに仕事のことになると くそ真面目になってしまうのだろう?


そりゃあ その課題を 与えられたのは一ヶ月近くも前のことではあるが
そもそも 俺なんかに そんな重大で難しい仕事をこなせるだけの 頭があるわけ無い。

 アルカディア軍に入隊した当時は 人並みはずれた弓の腕だけで 評価された。
ところが 幾つかの戦場で手柄をたて 暫くしたら いつの間にか昇進して
たかだか 奴隷揚がりの小僧っ子が あれよあれよと言う間に 弓兵隊の部隊長様だ。


 始めのうちは 回りからチヤホヤされるし 若い女の子からは キャア キャア言われ
すっかり いい気分になっていたが、 やがて 何だかメンドクサイ仕事が増え
今では 弓を射ている時間よりも 部下の訓練をしたり 書類の束を処理したりする方が 多いくらいだ。
俺様は こんな事のために 入隊したんじゃない!!


「まさかとは 思うが… 遣っていないなどと とぼけた事を言うつもりではないだろうな?」


「さすが 殿下! 鋭い!! そのマサカです!!」


エヘへと 上目使いに (出来るだけ可愛く見えるといいなと思いながら)見上げると
真っ赤な前髪を逆立て 大きく眼を 剥いている殿下が居た。


「いったい 夏の間 何をしていたのだ!! どうする積もりだ!!?」


「いや、そう言われても… 元はと言えば 先月 レスボス島に 海水浴に行った時
 殿下が悪のりして 夏の間の浜辺の使用権を賭けたスイカ割り勝負をして
 レスボスの巫女達に 勝ったからですよ 獲得した使用権が勿体無いから
 海の家をやりたいと俺が言ったら 賛成してくれたじゃないですか
 おまけに 海の家の屋号を【蠍亭】にしろ なんて言って 殿下も結構ノリノリだったでしょう?」


「だからと言って 夏の間中 レスボスで 遊び呆けている事はあるまい!!」


怒り心頭にはっしているかと 思っていたが どうも殿下の様子がオカシイ
キョロキョロと背後を 何度も振り返りながら 何かに 怯えているような… そんな素振りが…

…と 其の時であった 俺も良く知っている あの野太い声が聞こえたのは!

「おおう! 此処に いらっしゃいましたか スコルピオス殿下!」

現われたのはスコルピオス殿下の少年時代からの教育係であり お目付け役のポリュデウケスであった。

「うわあぁ!」

途端に 殿下は身体を丸めて 自分より一回り小さい俺の影に必死に隠れようとした。


「こんな所で 何をなさってたのですか? ああ もしやお邪魔でしたか?」

「うぅむ、まぁ その通りだ… 少し向こうに行っててくれポリュデウケス…」

俺の肩越しに コソリと覗く殿下、いったいどうしたんだ?


「それは 失礼いたしました 殿下 しかし 重要な件で
 殿下を 朝から ずっと探していたので 少しだけ お時間を頂きたい
 それと言うのも 件より お願いいたしておりました 軍の 特に弓兵隊の部隊編成案と今後の訓練計画
 それに部隊に支給する軍備費の予算案 おお それと新兵の募集と応募状況に関するレポートの方は
 纏めておいて頂けましたか? スコルピオス殿下」


何だか 何処かで聞いたような台詞だ。


「ああ いや、ええっと ポリュデウケス… 大変言いにくいのだが…」

「まさかとは 思いますが、 遣っていないなどと とぼけた事を言うつもりではないでしょうな?」


「おお!! さすが アルカディアの双璧とまで謳われた男ポリュデウケス 鋭い!!
 実のところ… そのマサカだ…」

「夏の終わる迄には 書き上げて下さいと
 口が酸っぱくなるほど あれ程申し上げたのに、何事ですか!!」


肩に置かれた殿下の両手が わなわなと震えているのが分かる
なるほど そういう事だったのか。


「殿下は 昔から そうでした 私が出した課題を いつも いつも先送りにして
 期日の間際になって 泣きながら 徹夜で書き上げる羽目になっていたではないですか?
 まったく これ程大きくなられても 肝心の中身が少しも成長していらっしゃらないようですな
 仕方がありません 今晩は わたくしが一晩中見張って差し上げますから
 明日の朝まで みっちりと お仕事をなさっていただきますぞ!!」


俺の後ろで小さくなっていたスコルピオス殿下を むんずと掴むと
ポリュデウケスは、殿下をずるずる引きずりながら 去っていった。



殿下の その哀れな姿は まるで屠殺場に連れて行かれる家畜のようで 涙を誘った…
と言いたいところだが まぁ これは 自業自得というものだろう


♪廻る まわるよ 車輪は廻る…♪♪


オリオンは 遠い昔 親友が 歌っていた、忘れかけていた歌を 不意に思い出し口ずさんだ…





     【八月 嗚呼 夏休みの宿題】  了



スポンサーサイト
 コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。