残念な時帰呼が綴る 残念な感じのON>OFF生活


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こんにちは なんだかんだと言いながら 少ししかSSを書きすすめられなかった時帰呼です。

アルコールが入ると すぐに眠くなってしまうのは何故?
昨晩は すっかり熟睡してしまいました すみません。

思ったより 長くなってしまった事もあって まだ完結しませんが
取りあえず 途中までUPします。


よろしければ 以下へお進みくださいませ。m(__)m



******


尊は そんなことで冗談を言うような娘じゃないのは よく知っている。
なにしろ 長い付き合いだ。

それに、これまでだって何度も不思議な事を言って 周囲の人を戸惑わせる事はあったけれど
其の度に 尊の言うとおりにすれば間違いなかった。

小学校の時、尊の言う警告を 馬鹿にして訊かなかった幼馴染の一人は 小石一つ無い校庭の真ん中で転んで
両脚を同時に骨折した事があった。
尊に 後から聞いた話では、校庭の真ん中にしゃがみ込んでいる黒い影を見たんだって言っていた。
其の子は 其の黒い影に躓いて 転んだんだって…

それ以外にも いろんな事件があって 当然と言えば当然の反応だろうけども周囲から敬遠されるようになると
尊は その影の話をしなくなってしまった。



それから十年近く経ち、
慣れ親しんだ森や丘が切り拓かれて 新興住宅地が次から次へと分譲され
真新しい道路の向こうから 新しい住人たちが押し寄せてくると
尊の不思議な力や事件は すっかり過去となり、 誰の口にも その話題が上らなくなった。
私達でさえ 二人は高校生となり、 毎日、テストやら部活動に追われる学校生活の中で
ごく普通の女子高生として生活していくだけで精一杯で その事に触れる事は殆ど無い。

 
  
尊は 頭のいい娘だ。学校の成績だって良い。
誰からも頼りにされ、男子にも 女子にも人気がある。

けれど、どんなに沢山の人達に囲まれ 楽しそうに微笑んでいる時でも、本当には心を開いていない気がする。
それは、いくら表立って語られる事が無くても 完全に忘れ去られてしまった訳ではない無い事をよく知っているからだろう。

こうして、二人きりで居ると いろんな事が思い起されてくる。


此処は、神主さんが居るような大きな神社ではないけれど、早朝から近所の人が訪れて綺麗に掃き清められた境内に
風が吹き抜け 森の下生えの熊笹がカサカサと囁くように葉擦れの音をさせた。

「見たって、何を?」

「幽霊」

クスリッと笑った尊が 本殿に向かってゆっくりと歩き出した。
尊のポニーテールが まっさらのセーラー服の背で歩調に合わせて揺れている。

私も その後を追って同じようにゆっくりと歩き出した。


「言ったじゃない… ゆ・う・れ・い」

「幽霊って いつものあれ?」

そう、表立って尊が あの影の話をする事は無くなっていたけれど
あれからも時折 私にだけは話してくれていたのだ。

「ううん ちょっと違うかな、今回のは 世間一般で言うところの所謂 普通の幽霊だから」

幽霊の場合 普通って言うのが、どんな幽霊を指すのか 私には判らないけれど
尊から聞いていた話しでは 今まで見てきたのは ぼんやりとした影のような物で 明確な形を持っていた訳じゃないみたいだったけれど
どうやら 今回見たのは 人間の姿をした もっと幽霊っぽい 幽霊だったらしい。 それが尊の言うところの普通の幽霊なんだろう。


私達が子供のころに遊んだ時に見た記憶ではもっと大きかった気がしたけれど
あらためて見てみると この神社の本殿は そんなに大きな建物じゃなかったが
風雨に曝され 少しばかり痛んではいるとはいえ 今でも人の手が入り 綺麗に保たれている。

「不思議よね 此処だけは 時間がとまったように昔のままみたい」

不意に 尊がぽつりと言った。 まるで、私の心の中を覗いたみたいに…
気を付けてはいるようだけど 尊は時々 こういう事を言う。
考えようによっては怖い事なのかも知れないけれど 私は 少しも嫌な感じはしない。
尊との心の距離が縮まったような気がして むしろ 心地よいくらいだ。


にっこりと 微笑んで尊が私を見つめて言った。

「ねぇ 覚えてる? 子供のころに 隣町のお祭りに行った時の事」

「うん 覚えてる。 すごく楽しかった…」

「お母さんに着付けてもらった浴衣を着て お父さんに貰ったお小遣いを大事に握りしめて 三人で わくわくしながら行ったわよね」

「三人…?」

「ええ、三人で… 忘れた?」

尊の言葉に その時の事を思い出そうとしたけれど、なんだか急に霧がかかったように その部分だけ記憶がぼんやりとしてしまった。

薄暗い街角に並ぶ露店の電球の灯り、香ばしい焼きそばの美味しそうな香り、行き交う沢山の人々が口ぐちに話す言葉の渦
それらは たしかに覚えている。 けれど それがいつの事だったのか 何処で経験した事なのか ハッキリとしない。

「もう一人 居たっけ?」

「酷いな、香澄」

尊が おどけて言った。

何か重要な事を忘れているようで 一生懸命思い出そうとしてみるけれども どうしても 思い出せない。


「さっきの幽霊の 話だけど…」

尊が 急に話題を戻して言った。

「私が見たのは 先週のお祭りの人混みの中、ああいった人の集まる処には 霊も集まるの、きっと 幽霊達って寂しがり屋なのね」

「ふうん そうなんだ…」

私は さっきの話が気に掛かり、幽霊の話しには あまり興味が湧かなくなっていた。
もう一人って 誰だったっけ? そう言われれば、もう一人居たような気がするけれど…

「初めは いつもの影かと思ってた。 けど 色が違ったの いつもは黒い影だけど その時の影は 薄紫色のぼんやりした影」


「ねぇ ちょっと座らない?」

尊が 指し示した本殿前の石段に 神社の大きな御神木の影が落ち、葉っぱの間から差し込む光がキラキラと舞い踊っている。
少しばかり不遜なことかもしれないと思ったけれど、子供のころを考えれば どうってことないだろう。ふたりは 並んで石段に腰を下ろした。

歩いてきた参道の向こうに 石造りの鳥居が建っていて その上には 沢山の小石が乗っている。
私達の地方では 鳥居の上に小石を投げて 上手く乗せる事が出来ると願いが叶うという言い伝えがある。
もしかしたら、単なる噂程度のものなのかも知れないけれど、実際に 沢山の小石が乗っているのを見ると
その言い伝えを信じている人が 昔から沢山いるのだろう。

「人が信じるところに 力が宿る」

「えっ、何の話し?」

「心の力の話し…」  
 
尊は鳥居の向こうに見える町並みを見つめて言った。

「不謹慎かもしれないけれど、こんな建物や単なる石の門に意味があるわけじゃない
 それに意味があると思う人の意思が集まって 其処に力が宿るの」  

「仏具屋の娘が そんなこと言って良いの?」

「良いのよ、別に家の仕事が無意味だって言ってるわけじゃない、其れが必要だと言っている人がいる限りはね…、 鰯の頭も…」

「…信心からって事?」

私達二人は お互いの顔を見合わせて クスリと笑った。


「さっきの幽霊の話だけれど、色が違うって どういうこと?」

「なんだ もう興味無くなったのかと思ってた」

「そんな事無いよ、色の違いに どんな意味があるの?」

 

「うん そうね、私にもよく分からないけれど 死んで間も無い魂の色は うすぼんやりとした色をしているみたい
 きっと、その薄紫色の影も 死んでから たいして時間が経ってなかったんだと思う」

尊は 両手の指を組み合わせ 前に突き出して伸びをして話を続けた。

「幽霊ってね、死んでから時間が経ってないと 生きていた時と あまり違わない姿をしているの
 でね、彷徨っている内に 自分の姿や記憶が薄れて行って、自分の姿を保っていられなくなって 現世への拘りが消えちゃうと
 終いには 空気に溶け込んじゃうのか それとも彼の世に旅立っちゃうのか判らないけれど 何処かへ逝っちゃうみたい」

「そうなんだ」

尊が 言っている事の根拠が何処から来るのかは知らないけれど、
今までの事を考えると 私は 否定したり疑ったりする気にはなれなかった。


「人間って どうして死んじゃうんだろう…」

ポソリと そう呟いた尊の言葉に はっとして見つめると、彼女の瞳に涙が微かに潤んでいた。



 to be Continued…… 


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 コメント
この記事へのコメント
また続きが気になる終わり方を…w

文章の書き方が本当に上手ですよね!尊敬しますヽ(・∀・)ノ
2010/09/01(水) 20:02 | URL | ぱぴこ #92shUbBQ[ 編集]
> ぱぴこさまへ

こんばんわ

【夏祭り】を 読んで頂けて ありがとうございます。
文章が上手いなんて とんでもないです
文法の誤りとか 誤字など盛り沢山で お恥ずかしい限りです。
続きも 頑張って書いて行きますので よろしくお願いいたします。
2010/09/02(木) 19:13 | URL | 時帰呼エトワール #-[ 編集]
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