残念な時帰呼が綴る 残念な感じのON>OFF生活


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おはようございます

昨晩は やはりフローリングの床の上で 蒲鉾ってしまった時帰呼です。
どうやら、退化してしまったようです;;;

私も ポケモンのように 早く最終進化したいものです。
もしかしたら、サトシのピカチュウみたいに いつまでも進化しないのかもしれませんが;;;

さて、九月も いつの間にか あと僅か… という事で
恒例の 季節ネタを 投下します。
といっても 以前のブログで掲載したものを 加筆、修正したものですが(ゴメンナサイ;;;)

ネタとしては 奴隷軍 閣下 オルフ お月見のお題を交えて でっちあげた
またもや、ある奴隷軍野営地での出来事です。


よろしければ 以下へお進みください。



******




「ずいぶん 長くなりましたね」

「あっ? …何がだ?」

オルフの唐突な言葉に アメティストスは 昼間の戦闘で すっかり刄こぼれしてしまった剣を研ぐ手を停めた。 



「あ いや、 ここのところ 戦闘の連続で 気付きませんでしたが
閣下の 御ぐしも 長くなったなと…」








天幕の中を ゆらゆらと揺れる灯明に照らされ
妙な事を言う奴だなと アメティストスは 怪訝な顔をした。



「それは お前も同じだろう?
それに 髪など 長くても戦闘に支障なければ 構わぬだろうに…」



アメティストスの黒き大剣より かなり細身の剣を研ぐ手を停めオルフは言う。



「たしかに その通りですが 我々は 山賊ではないのですから あまり放りっ放しという訳にもいきませんよ。
開放した奴隷だけではなく 閣下に憧れて 新たに加わる者もいるのですから」



「ふむ…」



顎の辺りを撫で 剣を研ぐために手桶に溜めた水の面を見ながら アメティストスが言う。

「そんなに みっともないか?」



「イエいえ! けっして!! そういう意味では!!!」

オルフは ブンブンと 首を振り 全力で否定した。



「たしかに お前の言う通りかもしれぬな
 そうだ 調度いい! 剣の切れ味も良くなったところだ
 お前の剣で ちょっと髪をきってくれ オルフ」



「エエッ! 私の剣でですか!?」



「ああ 私の剣では 大きくて重すぎるだろうからな」

アメティストスは ガチャリと 黒鉄の剣を置いて やにわに 着ていたチュニックを脱いだ。



「な・何を なさるんです!!」



オルフが 慌てたのは無理も無い 戦時ならば 藪や草むらを 駆け抜け
場合によっては騎乗する必要上 ズボンを履いているのだが 今は戦いも終わっている平時。
上着を 脱いでしまえば ほとんど何も身に着けていないのも同然なのだ。



「何故 脱ぐんです!?」



「お前が 髪を切れと言ったのだろう」



「だから 何故脱ぐのですか?」



アメティストスは キョトンとした顔で 質問に質問で返した。

「お前は 散髪するのに 服を脱がんのか? 切った髪が 服についたらチクチクしてたまらんだろう
 私の母親に切ってもらう時は いつも こうしていたんだが…??」



まあ 閣下の言う事は もっともだが、いい年をした大人が散髪するのに いちいち全裸になるのは 如何な物だろう!?



「どうした? ズバッとやってくれ 後から文句など言わぬから 大丈夫だ
 ああ この三つ編みだけは 切るなよ!
 おお それから 前髪は あまり短くするな、  あっ それとな…」



「わかりましたから あまり動かないで下さい、 手元が狂ったら 大変な事になりますから!」



ただでさえ 閣下の広い背中を見ていると 手元が震えそうになっているというのに
なんだか いつもの閣下と違い まるで子供のような ハシャギようだ。

仕方が無い、 自分が言い出した事だと オルフは覚悟を決め、剣を手に取り 少しずつ閣下の髪を切り始めた。



それにしても 普段から不思議に思っていたが 閣下の髪は どうなっているんだろう?

こうして 間近に見ると 陽のもとでキラキラと輝く銀糸のような髪と、夕日のような赤紫の幾筋かの髪が 交互に生えている。

こんな 珍しい髪をした人物は 産まれてこの方 見た事が…



いや…  思えば たった一人だけ ずっと以前に……



*****



あれは まだ奴隷買いにつかまる前、まだ旅の吟遊詩人として あちこちの国を渡り歩いていた頃、ふとした事で ある地方貴族の晩餐会に 呼ばれた時だった。



その席には とある王族の王子が 来賓として招かれていたのだが、王子は よほど 気の進まない酒宴だったのか かなり 不機嫌そうにし、その館の主である貴族は なんとかしてご機嫌をとろうとしていたが 必死の努力にも拘らず 何をしても 無駄のようだった。



「まずいな…」



これで 私の詩が 王子の気に入られなければ ただでは 帰れそうも無い雰囲気だ。

もちろん、どんな場合でも 貴族や王族を讃え 気に入られようとするような詩を 歌うつもりなど毛頭無い。 それどころか私の詩は 聴きようによっては 彼ら権力者達を怒らせることも充分ありえる詩なのだ。



まぁ 構うものか・・! こんな席で こんな連中を前に 私の詩を 歌う機会など そうは無いだろう。 いざとなったら この程度の屋敷から逃げ出せるだけの自信はある。



だが そんな考えは杞憂に終わった。

歌い出すと 王子は真剣な顔で 私の歌声に聞き入り、真に高貴な者にのみ持ちえると思われる気品と高潔さを兼ね備えた薄茶色の瞳には、けして怒りや不機嫌な色は感じられない。
王子は、ただただ 私の弱き者のつつましく苦しい生活を歌う詩に耳を傾け続けていた。

(もっとも館の主は 今にも 私の詩が王子の逆鱗に触れはしないかと 気が気でない表情をしていたが…)



そうだ…! その王子が 色こそ違え、 閣下と同じように その茶の髪の中に 一房だけ 金色の髪をしていたのだった。 あの時は そういう風変わりな髪が 王族の間で 流行っているのかと 思っていたのだが…



*****



「うっ…!?」

閣下の小さな呻き声に ハッと 我に帰る。



「こ・ これは!! すみません !!!」

見ると 閣下の首筋に 真っ赤な血の筋が流れていた。



「済みません!! ああどうしよう!??」



「それほど 慌てる事はない オルフ、 少し切れただけだ、 どれ どんな具合だ?」

そう言って アメティストスは 手桶の中を覗き込むと、角度を変えながら にわか散髪屋の腕前を確認していた。



「うむ、 まぁまぁ 気に入ったぞオルフ! さすがに 母上のようには いかなかったがな
 これからは お前に散髪を 頼むとしよう!!」



そう言うと、アメティストスは そのままの姿で天幕の出入り口をくぐり抜け 外に出て行ってしまった。



「ああっ! お待ち下さい!! そんな格好で!!」



「はははッ 構うな! どうせ とうにもう陽も落ち 歩哨以外は 皆寝静まっているではないか!!
 見ているのは お前と、 ほら! あの中天に輝く月だけだ!!
 森の泉で 私の血に汚れた身を 清めよう! お前も 来い!!オルフ!!!」



「まっ 待ってください!! 閣下!!」

アメティストスの白い背中を 追いかけながら オルフは思った。

閣下は 森に棲む子狼か 妖精のようだと…



月下に青白く夜露を煌めかした草原を駆け抜け、真夜中の森に入る閣下の背に 瞬間、青白い人影が重なって見えたのだったが、オルフが瞬きをする間に、影も閣下の姿も 深い森に呑み込まれ、 ふっと かき消えてしまった。



後には 夜の闇よりも なお暗い漆黒の森が オルフの行く手を遮るかのように広がり、鬱蒼と生い茂る木々の間から ただ 閣下の無邪気な笑い声が響き渡っていた。



そして……、 オルフは 確かに耳にした。

楽しそうに笑う閣下の声を追うように聞こえる 幼い少女の笑い声を…… 



しかし やがて それも 遠ざかり… 



「閣下ァ!!」

オルフは 暗闇に向かい 懸命に叫んだが、 もはや 何も 聞こえない…



不意に襲ってきたキリキリと胸を締め付ける意味も判らぬ不安に駆られたオルフが、森の入口に独り立ち尽くし、夜空を仰ぎ見ると、
其処には 大きな満月が、 ぽっかりと浮かんでいた…。



 【九月 お月見 】 了

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