残念な時帰呼が綴る 残念な感じのON>OFF生活


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どうも こんにちわ(^^;

ぐだぐだ生活 継続中の時帰呼です。

どうにかこうにか【夏祭り】を 書き上げました。
大変 遅くなり申し訳ありませんです。


思っていたより、ちょっとばかり、いや、随分長くなってしまいました。
ほんの思いつきから描き始めた サンホラとは まったく関係ないSSでしたが。
もし、最後まで読んでくれる奇特な方がいらっしゃったら とってもうれしいです。

今月に入って 更新が滞りがちになっていましたが 本日から バリバリ更新を…

アアァ… この台詞を吐くと ますます更新が遅くなるという某サイトの指摘がありましたね;;;

いや、本当に 頑張りますとも! 原稿も今日からは…www


では、【夏祭り】完結編を 以下にウップしましたので
よろしければ、どうぞ お進みくださいませ。



******



手を延ばせば、すぐ其処に居る香澄に 触れる事さえ出来そうな程に思えたけれど、
私の五感以外の感覚が 違和感を訴えている。

(幽霊…?)

そう呟きそうになって、あわてて その言葉を呑みこんだ。

けれど、私の心の動揺を感じ取ったように 香澄の肩が揺れ もう一度 香澄が謝った。

「ごめんね… 亜紀子」


(何を、謝っているの?)


  

茜色の空が色を変え、複雑なグラデーションを見せていたかと思うと いつの間にか薄紫色の夕闇が迫り、吹き始めた風が熊笹の上を渡り サワサワと草ずれの音をさせた。


そんな、ごく普通の夕暮れ時、幼いころから慣れ親しんだ神社の境内、早朝に掃き清められた土の上に 沢山の椎の実が落ちている。

そういえば、まだ 小学校に上がる前、みんなで よく拾い集めたっけ…


幼馴染の三人、天王寺 尊、鈴木 香澄、志村 亜紀子

 
あの頃の私達三人は、あちこちの野原や公園、空き地、小学校の校庭、何処でも まるで男の子のように 無邪気に笑い合い 駆け回って遊んでいた。 それは、今では遠すぎて はっきりとは思いだせない夢のような時間だった。

例年より厳しい残暑の中、力の限り鳴き続けていた蝉の声は 気付かぬうちに消え去り、それと入れ替わりに 鎮守の森の下生えの中、耳を澄ませなければ聞こえない程かすかに、秋の蟲達の鈴の音が聴こえてきた。


「もとはと言えば 夏祭りだよ…」

「そうね…」

片桐の言葉に 尊が相槌をうった。

梢の間から見える西の空が深い赤紫色に染まって、暗くなりはじめた境内は 全ての物の輪郭がぼんやりとしてきて
鳥居横に有るタイマー仕掛けの石灯篭の裸電球が投げかける 不意に燈ったオレンジの暖かな光りが 唯一の灯りだった。

こうして暗くなると、香澄の身体が 仄かに青白い燐光を放っていて、嫌がおうにも現世に生きる者ではない事を知らしめていた。

それは、香澄にとっても同じ事のようで じっと自分の両手を見つめていた香澄は、途方に暮れた顔を私達に向けて 涙を流しながら 引き攣った笑いを浮かべて言った。

「えへへ、やっぱり 私… 死んじゃってるのかな?」


私は、何と言って良いのか分からなくて 尊の顔を見返すしか出来ない。



「あの夏祭りは、台風のせいで 本来なら お盆に開催される筈だったのに 一週間近く順延になったじゃない。だからなのかもしれないけれど、帰るはずだった霊達が帰れなかったり 帰る途中の霊が引き戻されたりしちゃったみたい」

尊も 戸惑った顔だったけれど、意を決したように語り出した。

「知ってる? この地域の夏祭りっていうのは 元々は盆踊りを伴った行事だったって事。
 盆踊りと言うのは 本来、盆に招いた祖霊を迎え、送るための盂蘭盆会に踊る念仏踊りだったのに、 今では そんなことは すっかり忘れられてしまってしまって、盆踊りの櫓を組むこともなくなり 祭囃子だって 録音された物を流すだけ…」

尊の語りは 私と香澄のふたりに 優しく言い聞かせているかのようだった。

「それでも、霊達は とっても寂しがり屋だから人の集まる場所に集まってくるの。ましてや、自分の死に… 気付いていない霊は…」


今まで、黙っていた片桐が 不意に社殿の濡れ縁から降りると 狛犬の台座に寄りかかって言った。  

「実は 俺にも 露店で商いしながら 見えていたんだ」

「えっ!?」

私は 驚いた。(そんな事って…)

「どうやら、昔、尊の言う事を聞かずに 小学校の校庭で誰かの霊に けっ躓いた時から見えるようになっちまったみたいなんだ」

「そうね、信じるか、信じないかが 問題なだけだから」

「あんな目に遭えば、信じざるを得ないだろう?」

尊と片桐は お互いに見交わしながら 苦笑いを浮かべている。


「俺も 驚いたんだ。久しぶりに懐かしい顔を見つけたなと思っていたら 人混みの中に知り合いの霊を見つけて… そうしたら、亜紀子 お前の身体に…」

「ちょっと! ふたりとも酷いじゃない! 香澄のことを 霊だなんて言って!」

ふたりの話を 聞いている香澄の肩が震え 両目に涙を溜めている様子を見て 私は 堪らなくなって叫んだ。

「ごめん、でも事実なんだ。 香澄本人も それは認めないといけない事なの、そうでないと いつまでも彷徨って いずれは空気の中に溶け込むみたいに消え去ってしまうわ」


「でも、どうして… 私…」

香澄が 囁くような声で言った。
 

「香澄、覚えてる? 夏休みに お母さんの実家に家族そろって帰省した事を?」 

「うん…」

「その時、山の中に香澄達の家族でキャンプに行ったの。そして、香澄だけ山中に迷い込んで 行方不明になってしまった。 亜紀子も含めて町中の皆も 香澄が生還する事を信じていたわ。もちろん、私も信じたかった。
 でも 何となく分かってしまったの。 きっとお盆になって、香澄が近くに帰って来たからだと思う…」


「そう… なんだ」

「形だけになってしまったとはいえ、夏祭りは死者の霊を慰撫鎮魂するための行事であるということに違いはないから。 それに、子供のころから 楽しみで毎年 通っていた夏祭りだから、迷っていた香澄が あの夜 やっと此処へ戻ってこれたのね、 で… 夏祭りの夜の後、時々 亜紀子の様子が変だって 亜紀子のお母さんに聞いて、私は あの夜 あの場に居た片桐に相談したの、 そうしたら、すぐに駆け付けてくれて… 」

「駆け付けてって… 片桐 学校は!?」

「ふふ どうも記憶が混乱しているみたいだな。 まだ夏休み中なんだぜ。
 今日は 尊と俺で準備をして お前に合わせて一芝居打ったってわけさ」

「そうして、私と片桐で 話して聞かせたの 香澄に… 夏休みに 何があったのかを…」


事情は分かった。 戻って来た香澄が 私の身体に…

けれど、これから、いったい どうしたら…

「それは、分からないわ」

また、尊が私の心の揺れを感じて 悲しげに言った。

「でも、香澄が 全部理解したなら、他の人達が逝く処に行くのだと思う」


「そんな…」

「仕方ないことなの」

そう言う 尊の瞳にも 灯篭の灯りに光るものがあった。


『♪ハァ~ 踊り踊るなら チョイト…』

突然、調子っぱずれの歌声が聞こえてきたかと思い 声の主を見ると、境内の真ん中で 片桐がたった一人で盆踊りを踊りながら歌っていた。



其れを見て、初めは苦笑いしていた尊が 片桐の歌声に合わせて 合いの手をいれる。

『♪ヤットナ ソレ ヨイヨイヨイ』


片桐は それに気を良くしたのか、益々調子に乗って 大きな身振り手振りで踊りながら、大声で歌い。尊も 濡れ縁を降りると、境内の真ん中に踊りながら歩いて行って 踊る片桐の後ろに続いた。


神社の境内で繰り広げられる ふたりだけの奇妙な盆踊りを見て複雑な顔をしていた香澄が ぷっと吹き出して笑い、私と香澄は お互いの顔を見交わすと、黙って頷き合うと立ち上がり ふたりの後に続いて踊りだした。


時期外れの奇妙な盆踊り。

片桐の歌声は まるで某アニメのいじめっ子みたいに 普段なら聞けたものではないのだろうけれど、今日は なんだか心地よい… それは、形ばかりの夏祭りの盆踊りではなく、彼の純な心の籠った踊りと歌声だったからだろう。

其れに合わせて 尊の細く良く響く歌声が そろそろ秋めいてきた澄んだ星空に染み渡って行った。



風が ひゅうと吹いて、さわさわと笹の葉が鳴った…


ふと気付くと、いつの間にか 踊りの輪に加わっていた踊り手の数が三人になっていた。

私は、首を巡らし 境内を見回したけれど 何処にも香澄の姿はない。

「香澄は!?」

「……」

尊は その問いに応えられずに 唇を噛んで俯いているしか出来なくて 黙って首を振り、戸惑った私が振り返ると、片桐は 微動だにせず星空を見上げ肩を震わせていた。


我を忘れて踊り続けた汗ばんだ服に 秋風が冷たく滲みた…




******



「くしゅん!」

「風邪でも引いたの?」

くしゃみをすると 尊が心配そうな顔をして そっと私の額に手をあてた。

いつも通りの通学路。


今度こそ本当に始まった二学期と 色々あって全然やってなかった夏休みの宿題に辟易しながら、この朝も ふたり連れ立って学校に向かっていた。

「やめてよ、恥ずかしい…」

そう言いながらも 以前と変わらぬ尊の様子に なんだか嬉しくなってしまう。


この夏休みのことは、はっきり言って殆ど覚えていない。
なにしろ生まれて初めての事ばかりだったから、宿題どころではなかったのだ。

「どうせなら、私が この身体の中の心の奥で眠っているうちに 全部やっておいてくれれば良かったのに」

「それは、虫がいいってもんだわ」

「冗談よ、じょうだん!!」


タッと 駆け出した私は くるりと振り向いて 尊に言った。

「また逢えて 本当にうれしいわ!!」

「私も 本当に嬉しいわ。 けど、どうして戻ってこれたの?」


「さあ? 私って 昔っから方向音痴だったし… それに、在るかどうかも分からないあの世の存在なんて 本当には信じられなかったから」

「とても、幽霊の言う台詞だとは思えないわね! 理解出来ない事は 信じられない。 信じられない事は 存在しない事と同じ。 でも… 実際に死んでから体験した事は 事実だから信じられるし 他人にとり付いて 身体を借りる事が出来るのは体験済みってわけだ」 

(どうなんだろう? 実際 気が付いたら また舞い戻っていたというだけで 理屈なんて私にとっては どうでもよい事だった。)



「亜紀子とは 上手くやって行けそう? 香澄」


「たぶんね…、 昨晩も ふたりで これからの事をじっくりと話し合ったんだけど、 結局は 成るようにしか成らないわよね…って結論に到達したわ。 なんとか、折り合いをつけて頑張っていくつもり… 出来たら不得意な教科のテストの時は亜紀子に代わってもらいたいけれどね」


「まったく…」

ふうゥ… と、溜息をひとつ吐くと、尊は言った。

「お気楽なんだから、ふたりとも…!」


真っ白な歯を見せて笑った尊の笑顔は 昔の子供のころのように 何の混じりッ気も無い素直な笑顔だった。

それを見て、私は 今の気持ちを素直に伝えたくて ずっと昔から言いたかった事を大きな声で言った。
  

「大好きよ、尊!」

「ナニ言ってるの!? …まったく!」

尊は呆れかえったように、肩を竦めて苦笑いした。






   【夏祭り】 了。
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 コメント
この記事へのコメント
うおおお!とうとう完結ですねヽ(・∀・)ノ

いやあ素敵なストーリーを読ませて頂きました!ありがとうございます!ヽ(・∀・)ノ


尊…かわいかったですw
2010/10/13(水) 14:53 | URL | ぱぴこ #92shUbBQ[ 編集]
> ぱぴこさんへ

最後の章を書く段になって いろいろと矛盾が出て来てしまったので
完結するのが 遅くなってしまいました;;;

取りあえず 書き終える事が出来て 良かったですww

このSSが 書けたのも ぱぴこさんとの絵チャの御蔭です
しかも、感想まで頂きまして 感謝します!

可愛いと言ってもらえた 尊も喜んでいると思いますよwww

本当にありがとうございました。

2010/10/14(木) 14:39 | URL | 時帰呼エトワール #-[ 編集]
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