残念な時帰呼が綴る 残念な感じのON>OFF生活


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こんにちわ(^0_0^)

先日のブログ記事への拍手をありがとうございました。

ライブレポ後編は もう少しお待ち下さいませ;;;ゴメンナサイ;;;;;




しばらくの間 更新停止していて 申し訳ありませんでした。

先週の月曜日から 地震の影響によって 私の会社が操業を停止していまして、その間ずっと サンこそ8に向けての漫画原稿を描いていたり 寝ていたりしていました。 勿論 募金をするために豊橋駅前に行ったり ちょっとばかり遠出をしたりもしていたので ずっと引きこもっていた訳では ありませんが…。

被災地の皆さんの苦境は 少しづつは改善されてきた所もあるようですが、まだまだ 水も食料も届かない被災者も いらっしゃるようです。 そんな中 愛知県は それ程の被害も出ていないのですが 連日 報道される被災地の状況を見るにつけ 心を痛めています。 かといって、何が出来るという訳でもなく 現状では募金をする事しか出来ていません。 自分に出来る事と言えば いつも通りに生活しながら 仕事が出来るようになった時に、今まで道りに自動車産業の片隅に携わり働く事で 今後 被災地の皆さんが生活していく上で必ず必要になる自動車の部品を懸命に作る事だと考えています。

御批判を受けることとなるかもしれませんが、わたくし時帰呼は、 それが、いずれ被災地の復興の一助になるのだと信じているのです。


  
などと言いながら、内容的に どうかな?とも 思いながらも 以下に掲載するSSなども書いていました。

Moiraのイーリオン最終決戦後 何処かへと姿を消した アメジストスは いつの間にか冥府に迷い込み、気付けば 目の前に冥王が…

そんなSSですが、大丈夫な方は どうぞ以下へお進みくださいませ。

  
 







【檻】




「喪ったものは 取り戻せるのか…」

「アア、望ミサエスレバ…」


暗闇に灯る 仄かな灯火。
見渡せば 数え切れぬほどの 薄明かりが 近くに… 遠くに… 数え切れぬほどの数が 揺らめいている。 

目を凝らしていると 新たに灯る光が 其処彼処に…。


「ドウダネ? 美シイダロウ…? 此処ニ在ッテ アレラハ 始メテ本来ノ輝キヲ取リ戻スノダヨ」

目の前に佇む死の神の口から 紡ぎ出されるのは 天上の楽園から零れ落ちるかのような たおやかな調べ。 聴く者の心を 甘く蕩けさせる飴色の媚薬。


私は ギリリと唇を噛締め、その声音に耳を塞ぐ。

「黙れ!」

クツクツと笑う死の神。

「コレハ ズイブンナ物言イダナ…、尋ネタノハ オマエノ方ダロウ? 息子ヨ」

その声は いくら聞くまいとしても、無駄な足搔きだとばかりに肉の身体に染み込み 魂を闇の底に引きずり込もうとする。


私の望むモノ。 それさえ取り戻す事が出来るなら、何を代償にしようとも構わない。

たとえ、此の身が滅びようとも…。

「魂ハ 不滅ダトイウ…、何モシラヌθの可愛イ仔ラハ…。
 其レガ間違ッテイルトハ謂ワヌ。 ホラ…、コノヨウニ美シク輝キ続ケルノダカラナ、死セルものタチノ魂ハ」

再び、クツクツと嬉しそうに笑う死の神。


「何が 望みだ?」

「ソウダナ…、 言葉ヲ… θノ求メル何物ヲモ…拒マヌトイウ、誓イノ言葉ヲ…」

「言葉?」

私の不審に思う心を見透かすかのように 紫色の目を細め 死の神が 私の紫眼を覗きこむ。

「ソウ、言葉ダ」



喪われたモノは 二度と取り戻せはしない。 そう、かつての師ミュロスは語った。 あれは、いつの事か…?

「神を殺してでも、取り戻して見せる!」

私が放った言葉に 師は 哀しそうに眼を伏せ、静かに言った。

「別れる時が 来たようだ…。 我が友エレフセウスよ。 お前は お前の道を行くがいい…」 
  

残酷なる運命の神は 生けとし生ける者に 苛酷なる痛みを与えほくそ笑む。
何が 望みなのか? 何を求めるのか? これ以上 何を奪おうというのか?

私には もう喪うモノは何も無い。 

そう思った…。

最後に残された ささやかな宝物が この手の指先から零れ落ち 永遠に届かぬ彼方へ消え去った時、私の心は砕け散り エレフセウスという愚かな少年は死んだ…。

けれど、満たされぬ事の無い運命の女神の渇望が 更なる悲劇を望み 何も持たぬ私の心をも噛み砕き 呑み込んでしまった。


仮初めの温もりは 儚く消え去り。 留まる事無く そして 意味も無く繰り返される殺戮。

 そう、生にハ 苦痛が満ち溢れテイルのミ。 至上の平安ハ 死して後にコソ…。


  


罅割れた唇が わなわなと震え、僅かに戸惑いながら おずおずと開かれる

「私ハ……」


ふわりと 懐かしい香りが 不意に私を包み込んだ。

背後から 柔らかく抱きしめる温もり…。

(駄目、駄目よ…! 私の…) 


ギリリと唇を噛み 溢れ出した鮮血が顎をぬらす。 その痛みが紫眼の呪縛に囚われかけた正気を取り戻させ、力無く崩折れていた膝を立てると、生ある身のまま冥府に堕ちてなお、今だ手に握り絞めたままにいた黒き剣を構え 死の神の懐深く突き立てた。

深く深く 黒剣を押し込むと 死の神は ニイイッっと微笑みながら言った。

「ソウ…、 コノ方ガイイ…。 言葉ナドヨリ モット…、ズット…」


大きく広げられた死の神タナトスの両手が、優しく そっと私を抱きしめた。



ああ、コレガ 私の望ミヲ叶エル 唯一の…



「神を 殺してでも…」

その言葉を聞いた ……の哀しげな瞳が、一瞬脳裏に甦ったが その記憶は 瞬く間に闇に呑み込まれ…、突如 轟音を響き渡らせ風が吹き抜けると、後に残ったのは 闇よりもなお暗い漆黒の大きな影がひとつ。


その大きな影は、わなわなと震えながら紫色の瞳で しばらく自分の両手を凝視していたが、やがて自分が何モノであるかを悟ると、頭上に広がる星ひとつない永遠の闇夜を見上げ 轟く雷鳴のように絶叫し、その声は 果てしなく広がる冥府の隅々まで響き渡った。   



こうして、かつて人だったモノの最後の自我の欠片は 冥王の檻に囚われ、更なる永劫の苦痛に責め苛まれることとなった。




  物語りは続く……







    【檻】…… 了 


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