残念な時帰呼が綴る 残念な感じのON>OFF生活


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こんにちは(^0_0^)

本日は 昨日のSS【放たれた矢の行方は…】の続きをアップします。
これは 二年ほど以前に書いたSSですが あまりにも 自分で読んでいて恥ずかしくなってしまったので 大幅に加筆修正しました。

まァ、ストーリーは変わっていないのですがww。

私が 『MOIRA』のSSを書くと どうしても暗い内容になりがちなんですが このお話も ラストは救いようのない物となっております。

其れでも良いという方は 以下へお進み下さいませ。
  






【放たれた矢の行方は…】 ……(その2)


「ずいぶん 物知りだな オルフ」

「馴れ馴れしく 私の名を呼ぶな! お前は我々を探りに来たのか?」

キャンキャンと吠え立てる様は まるで子犬のようだ。


「そういえば コイツの持ち物の中に 弓と矢があった。 もしや 閣下の命を狙って!?」

凄まじい形相で オルフが俺を睨む。


「まぁ、待て。 こいつの弓の腕は 私が一番よく知っている。 本気で狙っていたなら、とっくに私の命は無いだろう」

エレフが 冷徹な紫の瞳で 俺を見下ろしながら言った。

実際 エレフを狙っていた訳ではないし、高名なる紫眼の狼殿の居場所を見つける前に捕まっちまったんだが、今は 伏せて置いた方が良さそうだ。

敬愛する閣下に そう言われては オルフも それ以上何も言えなくなったのだろう。 後ろに一歩引き下がると 大人しく口をつぐんで控える事にしたらしい。(ただ 前髪に隠れがちの奴の碧眼は 俺を睨み続けたままだったんだが)



エレフが さらに近付いて言った。

「もう一度 聞こう。 オリオン、何を しに来た?」

エレフの口調は ひどく穏やかだったが、その眼には 見た事も無いような氷のように冷たい光を宿していた。

「おい おい! そんな眼で見るなよ 怖いなぁ~! 正直に言うとな… 噂の紫眼の狼とやらが 元奴隷の有象無象どもを引き連れて苦労しているのを見物しに来たんだよ」

途端に オルフが 食って掛かる。

「なんだって! もう一度言ってみろ!!!」

「控えていろと 言ったはずだぞ オルフ!」

閣下に咎められるや、尻尾を巻いて オルフは また天幕の隅に戻る。 俺を睨みつけたままで…。

   (やれやれだぜ)


「では、オルフの言うように お前は、我々を偵察に来た…と言うのか?」

どうも冗談の通じる状況では無いらしい。 エレフは腰に下げた剣に手を掛けている。

「そんな 大層な理由は無いってば! 個人的な単なる好奇心だよ!」

どうも旗色が悪い。


「どうします 閣下? アルカディアの兵である事が判った以上 このまま帰す訳には…」

エレフは眼を閉じ、少し考えていたが こう言った。

「コイツは 私が処分しよう」

(おい!おい!おい!! 冗談じゃないぞ!!!)



*****



「そういえば、今のお前の名を 聞いてなかったな」

奴隷軍の本隊を離れて以来、俺を後ろに従えたまま 黙って歩き続けているエレフの背に声をかけた。 そこには 俺の弓と矢が入った荷物が背負われている。

もしかしたら、俺の荷物を返して見逃してくれるのかも…と 淡い期待を抱いてみたが、俺の獲物で始末されてしまうという線も有るなと思い至って身震いした。


「アメティストスだ」

しばらくして、エレフが ぽつりと言った。

どうやら 先程の質問に対する回答らしい。

「アメティストス…? ハハッ、なるほど 懐かしい名前だな。 それにしても、紫水晶か… いかにも偽名って感じだ。 けど、なんでエレフセウスと名乗らないんだ?」


その言葉に エレフは突然立ち止まると、振り向いて言った。

「エレフセウスいう男は 死んだ…」

俺を見つめる その眼は、紫水晶というよりも真っ黒な洞窟のように見えた。

 


「さあ 此処らで 良いだろう」

見回すと 辺りは 岩だらけの荒地で、ずいぶん寂しい処だった。

(あ~あ ここが 俺様の墓場になるのか?)

むざむざ 諦める心算はないが、こいつの剣捌きから逃れる自信は 俺には 到底無かった。 

「エレフ もうひとつ聞かせてくれ。 ミーシャは どうした? 俺は 以前、レスボス島で どういう経緯かしらないが星女神の巫女をしていたミーシャに出会ったことがある。 お前が背負っている俺の弓と矢は 其の時ミーシャから貰った物だ。 アストラの祝福を受けた聖なる武具だと言ってな…。

其の後 しばらくして、再びレスボス島を訪ねると彼女の姿は無かった。 もしや エレフ、お前が迎えに来たのかと思い他の巫女連中やソフィアとかいう人にも消息を聞いたんだが 誰も何も話してくれなかった…」



エレフは 二~三歩近寄ると 俺の両肩を掴み、今にも泣き出しそうな顔で 叫ぶように言った。


「知らないのか? オリオン!!
ミーシャは 死んだ…。 殺されたんだ!アルカディアに!!
レスボスに遣って来たアルカディア軍の兵士に 連れ去られ、殺されてしまったんだ!!」


馬鹿な!? そんな話は 知らない!!

そんなことが ある筈がない!!!


だが エレフの両手が 俺の肩にギリギリと食い込み、 エレフの言ったことが 全て真実であると否応無く伝えていた。

唇を噛締め、俺を突き放すように身を離すと、ドサリと背負った荷物を投げ出し エレフは自分の剣を抜き払った。 その剣は 赤黒く冷酷な光を湛え まるで涙に濡れているかのように鈍く光っている。


「お前の弓の腕は知っている。 このまま見逃し、アルカディアに帰せば、いずれ我々の脅威になる。
だが 俺にはお前を殺す事はできない。 すまんが二度と弓を引けないように利き腕を一本貰う…!」

俺は 今から起こることも忘れ、奴隷軍の中では けっして見せないだろうエレフの悲しげで怯えたような顔を見つめた。

(ああ、そういう事か。 変わったようで ちっとも変わって無い。 昔通り相変わらずの甘ちゃんだ。 俺やスコルピオス殿下なら 躊躇無く斬って捨てるんだがな…)


「しかたないな…。 だが ちょっと待ってくれ。 このままバッサリ遣られたんじゃ 出血多量で どの道死んじまう。 止血の為に腕の付け根を縛るから 俺の荷物の中の弓の弦を貸してくれ」

そう言うと エレフは 足元の荷物を投げて寄こした。


「ああ! 何で こんな眼に遭わなけりゃいけないんだ? 他人を斬ったことはあっても 斬られたことは無いんだ。 すげー痛いんだろうなぁ~」

なんて、ブツブツ言いながら 荷物の中を捜していると


「やはり そういう事ですか、アメティストス閣下」

と声がして 六人の男が 岩陰から現れた。



「どういう心算だ? 貴様ら…」

エレフは ゆっくりと振り返り、男達を見据えた。    



「あんたは 目障りなんだよ! 若造のくせに いっぱしの将軍様気取りで 俺らを顎で使いやがって。 少しばかり腕が立つからと いい気になってんじゃねえ!」


「あんたは 人集めの御輿にしかすぎないんだよ! 御輿なら御輿らしく 黙ってればいいんだ!」

どうやら奴隷軍の不満分子という奴等らしい。



「おいおい どうするんだ? エレフ。 なんなら加勢しようか?」

俺が そう言うと 連中に剣を向けたまま エレフが言った。

「弓使いの お前が 接近戦をか? 邪魔になるだけだ。 構うな、逃げろ!」

「じゃぁ、お言葉に甘えさせてもらうよ!」

俺は エレフの言葉を有り難く頂戴して弓と矢を引っ掴むと さっさと逃げ出した。(まぁ エレフの腕なら 問題無いだろう)




「私達は 好き放題に暴れまわる山賊や夜盗とは違う!」

エレフは リーダー格の男に黒剣を突きつけ言い放った。


「煩せえっ 小僧!!」

一人が 背後から駆け寄り その男の剣が エレフの胴を切り裂こうとして真横に斬り払われた。

だが まるで岩場に棲むカモシカのように トォーン!と エレフは飛び退り、男の剣先はエレフが肩に掛けた外套の端さえ かすめもしない。

「くそったれ!!」

別の男が 横合いから斬りかかり、同時に もう一人の男が槍を突き出す。

エレフは 瞬時に槍の軌道を黒剣で逸らし間合いを詰め 槍の男の内懐に飛び込むと、素早く腰紐の背に挿した短剣を左手で取り出し 逆手に持ったかと思うや 男の鳩尾にグサリと深く衝きたてた。

あっという間に一人倒すや、息もつかず姿勢を低くして 信じられぬような軌道を描いて 次の獲物目掛けエレフは跳んだ。

慌てた男が 大上段から 地を這うように迫るエレフ目掛けて剣を振り下したが、 神速とも言えるエレフの速さに間に合うわけもなく エレフの黒剣が両膝から下を薙ぎ払った!

ドウと男が倒れるのをかわすと 素早く体勢を整え、振り向きざまに リーダー格の男の懐へヒタリと張り付くほどに一瞬で間合いを詰め エレフは血に染まった赤黒き剣を突きつけた。

「此処までだ!」



カタカタと震えながら、男は言った。

「降参だ」


其の時 両膝を刈り取り倒したはずの男の手が エレフの脚を掴んだ。

「しまった!」

エレフは 黒剣で その手を薙ぎ払ったが そのために僅かに体制を崩してしまい、その隙を逃さず リーダー格の男が剣を握りしめ エレフ目掛けて襲い掛かって来た!


ヒョウ!と 空気を切り裂く甲高い音がした

    ドドドッ と 三本の矢が降り注ぎ エレフに斬りかかった男の頭頂部とその両足に衝き立った!!



続いて、リーダー格の男の死に様を見て呆気にとられていた残りの三人の頭上へ、空気を震わせ またも三本の矢が飛来し、 次の瞬間、伝説の一角獣のように それぞれ一本づつ矢の角を頭に生えさせて 男たちは絶命していた。 

エレフは 矢の飛んで来た方角へ首を向けた。

 しかし 荒れ果てた岩山と砂塵が風に舞っているだけで 他には何も見えない。 

エレフは あの日、オリオンが イーリオンで叫んだ言葉を思い出そうとしたが、どうしても思い出せなかった。 

「技名 長えぇよ バ~カ !!」

そう呟くと エレフは クスリと笑った。


それにしても…と エレフは思う。

この力が 何の役に立つというのだ?


 其れは、懐かしき親友の背に見えた黒き陰


あの忌まわしい陰は 確かに ニイイと笑い、こう言った

「ネクロス…、 ワガ ムスコヨ…」


突き抜けるような蒼天の下 茫漠たる大地に風は吹き荒び 時は巡る。

(嗚呼、この旅路の先に 何が残るのだろう…)


血と埃に塗れたエレフの頬の上に 一筋涙が流れ落ちた。




【放たれた矢の行方は… / 蒼天】  ……to be continued.

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