残念な時帰呼が綴る 残念な感じのON>OFF生活


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こんばんわ(^0_0^) 何だかノーパソの調子が悪くて不安な時帰呼です。
っていうか これは やっぱり マウスの調子が悪いのか? ううむ、パソコンの知識が全然ないに等しい時帰呼にとって これは一大事。 さっぱり判りません。 とりあえず 別のマウスを使って 調子を観ておきます…;;;

今回も 【放たれた矢の行方は… /蒼天】の続きにして完結編です。 またもや 大幅に加筆修正してみました。宜しければ 読んでみて下さい。

そういえば、これを書いた当時、 ラストシーンを泣きながら書いていた事を思い出しました。
けっこう 自分の作品を泣きながら書いている事が多い気がします。 映画とか漫画とか小説などを読んでいても 哀しい場面で すぐに涙ぐんでしまうのは 少しばかり感情移入が激し過ぎるのかもしれませんね。ww 






【 放たれた矢の行方は…】 …… その3





蒼い空が 何処までも広がっている 。

小高い丘の上にでも立ち見渡せば、何処までも遥か遠くまで 幾つも幾つも なだらかな丘が折り重なって続くのが見渡せた。
 

此処は 雷神の守護する国 アルカディア


けして豊かな土地ではないが この国の民は 遠い昔より オリーブと葡萄 それに僅かばかりの穀物を栽培して細々と幸せに暮らしてきた。

そんな土地でも 欲深い他国の侵略は 幾度と無く この国を脅かし続ける。


旅の吟遊詩人は 美しい調べに乗せ 時に激しく竪琴をかき鳴らし、たえず移ろい逝く人の世の儚い幸せを 絶える事の無い争いの歴史を詠う。


ああ、そのとうりだ…、人は歴史に何も学ぼうとせず、 千年の後にも変わることなく愚かしい争いを幾度となく繰り返す。


      夢を見た……


人々が笑いさざめき 豊かな収穫を喜びあうさまを、

偉大なる王のもとで永劫の平和を感受し 永遠に続くアルカディアの栄光を讃え、歌い、舞い踊るさまを…


         確かに 私は見た。


ふと、我にかえると いつの間にか西の丘に陽が落ちようとし、宮殿のそこかしこを 赤く染めあげていた。


      間もなく 夜の帳が 降りるのだ。





*****



「スコピー あんたに聞きたい事がある」



宮殿の奥まったところに在る自室の籐椅子の上で 連日の激務に疲れ果て転寝をしていたスコルピオスが 背後の声に夢の中から引き戻され ゆっくりと振り返ると 深まりゆく影の中に立つオリオンが居た。

「どうした? そんなところで…」

そう声を掛けた時 オリオンの眼がギラギラと 自分を射すくめている事に スコルピオスは気づいた。

今朝方 侍女からオリオンの外出するとの伝言を聞いていたが 何が有ったのか すっかりいつもの陽気さは無かった。



「ミーシャというレスボス島の巫女を知っているか?」

今、オリオンが立つ夕闇のように暗く沈んだ声だ…。 まったく…、オリオンには似つかわしくない。


スコルピオスは、こめかみを押さえながら じっとオリオンの眼を見返した。
(もちろん、知っているとも。 この手に掛けた我が義妹だ…)


「いや 知らぬ 何の話だ?」

スコルピオスは 静かに答えた。


陽は とうに西の丘に姿を隠し、今は 中天に朧に霞んだ満月が ぽっかりと浮かんで 青白い月明かりが降り注いでいる。

(あの晩の出来事は 月と この私しか知らぬ…)



「ミーシャは 俺の親友の妹なんだ」

オリオンが 影から 月光の下に出てきた。 其の手には レスボス島の星女神様からの授かり物だと いつも自慢していた弓と矢が握られていた。

(そうか、なるほど… そういう事か…)

スコルピオスは 静かに言った。

「ならば、王に聞くがいい…」



宮殿の廊下の そこかしこに掲げられた松明の火が揺れ、夜の影を さらに黒く染め上げている。

二人は 無言のまま、王宮深くへと歩いた。


王の間の豪奢な装飾を施された大きな扉の前に立つ衛兵に 王への謁見を申し出ると、曲がりなりにも王位継承者であるスコルピオスと 王宮守備隊の弓兵隊長オリオンを 咎める事もなく アルカディア王の前に通した。


「何事だ? 火急の用件とは…… スコルピオスよ」

毎日繰り広げられる酒宴に供される料理や美女に心の大半を奪われている王は ふたりの突然の訪問に対する不快感を隠すこともなく言った。

「いえ 用件が有るのは 私ではなく、こちらに控える弓兵隊長オリオンであります 陛下」

王は眉間に皺を寄せ ますます不機嫌さを顕わにした。

「オリオンとやら 用件とは なんだ? 余の晩餐を遅らせるほどの重大事なのだろうな!?」

臆することなく ズイッと王の前に出ると オリオンは言い放った。

「なぜ 星女神の巫女 ミーシャを殺した!!」

「余は 寛大なる王であるが、無礼も 度が過ぎれば捨て置けぬぞ」

その言葉とは裏腹に、真昼でさえ飲み続けねば気が棲まぬ度を越した酒量に曇った王の眼は 視線も定まらず苛立ちに揺れている。

「この者は 何を言っておるのだ?」

傍らの側近が 王に耳打ちをした。 酒と女に溺れる この男には 昨日のことさえ定かではなく、たとえ覚えていたとしても 過ぎ去った事などには 関心が無いのだ。

「おお! あの偽りの神託で 人心を惑わせていたという あの女のことか…」

その王の言葉に オリオンは押さえきれぬ怒りを噴出させた。

「偽りの神託だって!? ミーシャが そんなことをする筈が無い!」

オリオンが詰め寄ろうとするのを スコルピオスが 割って入り押し留めた。

「偽りでなくて 何とする! 神を敬い 神を守護する この王たる余が禁忌を犯したが故 打ち倒され、雷神の国アルカディアが 滅びるなどと! その様な偽りの神託を…! いや、世迷言を許しておくことなど 出来ぬわ!!」


オリオンには 到底信じられなかった。 ミーシャが そんな神託を?

ミーシャの笑顔を思い出す。

あの娘は ただ星の運行を測り、人々の幸せを願い、生きる事に迷った人に 行く道を指し示していただけなのに…。

『あの日』の俺に 語ってくれたのは、人の定められし運命と どんなに過酷な生でも 生まれてきた事にこそ価値が在るのだという事…。

どうして あの娘が そんな事を言えようか!

「嘘だ!! そんな そんな……」

(そんな筈はない!)

オリオンは 手にした弓に眼を落とす。


何故 俺は こんな男に仕えてきたのか?

いや違う、俺はこいつに仕えていたのではない!

俺が…、俺が 唯一仕えるべきものは 俺自身と…

俺を認めてくれた スコルピオス殿下のみ。


玉座の上からオリオンを見下ろし、王は言った。

「なにを それ程までに拘る? たかが女一人の事で?」


たかが…だと!!?」

オリオンは カッと眼を見開き、弓を王に向けた!

「貴様に 何が判る!?」


弓につがえた矢をキリキリと引き絞ると 護衛兵が身を盾にして暗愚なる王を守ろうとしたが オリオンは構わず矢を放った!! 重装歩兵の甲冑をも紙の如く貫くオリオンの矢は 苦も無く護衛兵の身体を刺し貫いたが 寸分違わず王を射抜くはずだった放たれた矢は 身を挺した護衛兵に阻まれ 狙いが僅かに逸れた。

ドウっ!と 絶命した護衛兵が、王の上に覆い被さるように倒れる。

「チッ!」

オリオンは舌打ちをし、二の矢を継ぎながら 王に駆け寄ろうとした… 其の時。
ドッ! …と脇腹に衝撃を受け、オリオンは 横様に薙倒された。何が起こったのか オリオンは理解できないまま 床の上から見上げると 赤い血に濡れた剣を手にしたスコルピオスが見下ろしていた…。

なんだよ…、 それは、 もしかして…… 俺の血か?

なんとか オリオンは立ち上がろうともがいた どうやっても下半身に力が入らない。
(そもそも 俺の下半身は まだ有るのか?)目の前に転がる 血にまみれたモノを見ながら オリオンは ぼんやりと考えた。

「何をしている! 医者だ! 医者を呼べ!!」

頬を返り血に赤く染めたスコルピオスが叫ぶ。

王の間に侍らされた女達は 目の前で起こった惨劇に怖れ慄き 顔を覆い泣き喚いている。 王に取り入り出世しただけの戦場も知らぬ側近達は とうに逃げ出し姿は無い。 廻りを見まわしたスコルピオスは 素早く血に塗れた玉座に駆け上ると 王の上に倒れ臥した兵を無造作に跳ね除けた。

「陛下!!」

スコルピオスが 力無く倒れ伏した王の身体を抱き起こすと、オリオンの怒りの為した執念が乗り移ったかの如き矢は盾になった兵士の身体を貫通し  王の胸板に突き刺さっていたが

 折り重なって倒れた為であろう 中程でポキリと折れていた。

「早く 医者を!!」

スコルピオスの声に 震えつつも近付きかけていた王の間の扉を護っていた兵士が「はいっ 殿下!」と 叫ぶと走り去っていった。



「おお よくぞ 余を 守った…」

肋骨にでも当たり 深手には至らなかったのか、王は 痛みに顔を歪めながら言った。
今、玉座にいるのは 王とスコルピオス。 それに 倒れ臥したオリオンだけだ…。


「どいつも こいつも 逃げ出しおって 不忠者どもめ!
よくやった スコルピオス… 何なりと 言うがよい。 褒美を摂らすぞ」

どれ程 軍功を立てようと けして労を労う一言さえ掛けず、妾の子と蔑み玉座に座る自分から遠ざけて来たスコルピオスの腕の中で デミュトリウス王は かつて戦場に於いて勇者と呼ばれた王とは思えぬ卑屈な笑みを浮かべた。


「…では、貴方の命を」

そう言うと スコルピオスは、王の胸に刺さった折れた矢に手を掛け グイィッ…と捻じ込む。
ドサリと 亡骸を投げ出すと スコルピオスは冷徹なる薄笑いを口元に浮かべ立ち上がった。

スコルピオスが幼き頃亡くなった王家の血を引く母が どれ程愛し続けたかも知ろうともせず 母を虐げ続けたアルカディアを 賤しい妾の子が 遂に 其の手に掴む時が来たのだ。

残る邪魔者は レオンティウス ただ一人…。



其の時、背後から 声がした。

「よう…、 スコピー」

振り向くと 哀れな姿のオリオンが 血溜まりの中に横たわっている。


「なんだ…、まだ息が有ったのか」

スコルピオスは ゆっくりと歩み寄り オリオンを見下ろした。

「役には 立ったぞ… 礼を言う……」

最早、身じろぎもならぬオリオンは 血を流しすぎ 消え入りそうな薄っすらとした意識で言った。

「失敗しちまった…



  けど、



   少しは、 あんたの役に

 立てたのなら

まぁ…、   良しとするか



ヘヘッ 俺はね… スコピー

 あんたに 天下を、盗ってもらいたいだけなんだ…



ただ… 残念なのは

  あんたの 思い描く 理想国家を……



この眼で

見れない事…… か… な…」



ふうぅ… と、一度 息を吐き出すと オリオンは 二度と動かなくなった。



首を傾げ 見下ろし 考える… スコルピオス



ずいぶん 変わった奴だった

まるで子犬のように じゃれ付き纏わりついて…


自分を殺したのが この私だという事を理解してなかったのか?

恨み言の ひとつも言わずに逝きおって…。



ふと見ると 傍らに あの星女神から授かったとオリオンが言っていた弓が 転がっている。

スコルピオスは それを拾い上げると オリオンの胸の上に そっと置いて こう言った。



「さあ 今度は 天空に昇り

神々に その弓の腕を 見せ付けてやれ…… オリオン」



冷やかな風に誘われ スコルピオスが 冷たい石の牢獄のような王宮を歩み出ると、満天の星空に 数え切れぬ綺羅星が織りなす 神々の壮大なる星座の絵巻が広がっていた。




【放たれた矢の行方は… / 蒼天】  …… 了 





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