残念な時帰呼が綴る 残念な感じのON>OFF生活


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こんばんわ(^0_0^)今月は 更新をさぼりまくっている時帰呼です。 順次 通常運転に戻って行くと思いますので 勘弁してやって下さい。

領復レポやらオクトーバーフェスのレポやら 色々と為過ぎてしまったのですが、そっちの方も順次なんとかしますです。

とかいいながら、不意に思いついたSSを書いていました。 サンこそ名古屋の原稿を描かなければいけないというのに;;;

そんな訳で、本日は 久しぶりの奴隷軍SSです。 登場人物は アメティとオルフとシリウスの三人。 ツイッター上で見かけた 参謀に「はわわっ」と言わせたいとの呟きをみて書いてみましたが、どんなもんでしょうか?

宜しければ 以下へお進みくださいませ。





【運命の輪】


カラカラと音がする。


流れる雲を見つめ、明日の空を思う。

渇き切った大地に時ならぬ豪雨をもたらした雨雲は、西の空へと去って行った。

この様子ならば、きっと晴れるだろう。


カラカラと音がする。


「何の音だ?」

傍らに立つ 金髪碧眼の参謀に問い掛ける。

「音…? 風の音ではないのですか?」

戸惑い顔で 参謀が答えた。

(そうか…)

余人には見えぬ あの忌まわしい黒い影と同じく、この音も 奴の仕業なのだろう…。



紫眼の狼アメティストス率いる部隊は、当初 ほんの十数人の山賊と見分けも付かぬ薄汚れた男どもの集団だったが、今や それなりの装備に身を固め 曲がりなりにも統制のとれた“軍”と呼べる集団となり、各地で奴隷解放の戦いを続け 転戦する内に 彼等を支援する国さえ現れるようになっていた。

それは、アメティストスが打ち倒そうとするアルカディアを筆頭とするヘイレーネの国々に 永き間 虐げられ踏みにじられ侵略され続けたバルバロイと呼ばれる他民族の国々であったのだが、彼等の国々の中にも奴隷が存在する事は 大きな矛盾であった。


「いずれは、この世界全てを敵とする時が来るのかも知れぬな…」

戸惑い顔の参謀に苦笑が浮かんだ。

(また、この御方は 自分の内の深い所に沈み込もうとしている)

誰もが魅了される 紫眼の奥底に、暗い光りを見つける度に オルフは不安になった。

自分もまた、アメティストスの手により解放された奴隷のひとりであったから 今まで絶望に囚われた者の瞳を 数限りなく見てきた。  だが、これほど深い哀しみの色を見た覚えは無かった。

「閣下…」

オルフは 思わす アメティストスに呼びかけた。

「何だ?」

ゆっくりと振り返ると、アメティストスは微笑みを浮かべ 聞き返した。

「…やっ! 何でもないです」

「おかしな奴だな」

今度は、アメティストスが苦笑した。

その顔は 最近になって ようやく、ごく稀に見せるようになった穏やかな表情だったから、オルフは少しだけ安心した。

そう…、さっきは、この人が 砂漠に現れ 不意に消え去る蜃気楼のように、一瞬 儚げに見えたのだ。


「明日は、この大雨で遅れた行軍の距離を 出来るだけ取り戻さねばなりませんね」

オルフは 自分の心の内を見透かされないように 敢えて事務的な口調で言った。

「ああ、 だが あまり先を急いで 兵達を疲れさせたくはないな。 次の戦いは これまでに無い激しいものになるだろう」

確かに、その通りだ。 オルフは アメティストスの気遣いが嬉しかったし、なにより 彼と共に居られる時間が 一日でも長くなる事が嬉しかった。

そう…、全てが終わった後に この方は 何処かに消え去ってしまう… オルフには、そんな予感がしてならなかったのだ。

「何処にも行かないで下さい」

そう言いたかったが、無論 オルフにそんな台詞を言う勇気など有りはしなかった。 それに…、もし、そう口に出してしまえば尚更、それが現実の物となってしまいそうに思え怖かったのだ。

「閣下…、いずれ この戦いが終わった時には…」

ピクリと アメティストスの眉が揺れ、額に深い皺が刻まれたのを見て オルフは 言いかけた言葉を飲み込みそうになったが、勇気を振り絞り続けた。

「もし、戦いが終わったら 何処か 静かに暮らせる場所を見つけて…」

「それも 良いな…」

(そレも 良イ…)

だが、その日が来ない事は アメティストス自身が 一番知っていた。 何故なら 彼が 捜し求め 本当に手に入れたい物は、もう この世の何処にも存在しないのだから。

小高い丘の上。 振り向けば 奴隷軍の今宵の野営地に何十張りもの天幕が 設営され その周りでは 明日をも知れぬ我が身の運命を忘れる為に 酒を煽り 肩を組み唄う死す可き者達の姿が見えた。

私が 此処まで戦い続けて来たのは 彼等が私の居場所を与えてくれたから…。
もう、生きる事に 意味を無くし この世の何処にも 行き場所を無くした この私に…



「ソレモ、モウスグ消エテ無クナル運命」

耳元で また あの声が囁く。

「何故カ解ルカネ? ソレハ、オマエ自身ガ 全テヲ 滅ボシタイト思ッテイルカラ…。 生キルトイウコトハ他者ヲ殺シ喰ラウコトデシカ叶ワヌ呪イダカラ…。 全テノ憎シミト哀シミガ 生トイウ名ノ呪イカラ始マルト知ッテイルカラダ」

(だったら、どうだと言うのだ? そんな事は知っている)


「本当ニ ソウカナ? ナラバ此ノ戦イニ意味ナド無イト気付イテイル筈ダ。 勝テバ オマエ達ガ強者トナリ、敗者トイウ名ノ弱者を 喰ラウ存在トナルダケナノダカラ」

(そんな事は無い。 弱者の痛みを知っている彼等が 同じ過ちを繰り返すなど…)

「生キルトイウコトハ呪イダ。 誰モ 此ノ檻カラハ逃レラレナイ。 ソレ故ニ 生ハ呪イニ満チテイルト言エルノダ」



「閣下…?」

オルフは またもや無言で 空を見つめるアメティストスの眼を覗き込んで 背筋に冷たい物が走るのを感じた。 紫水晶と称される彼の眼が 漆黒の闇色に染まり、そこには、深い井戸の底に揺れる暗い水面のように 何かがうごめいていた。

「閣下!」

オルフは 思わず アメティストスの腕を取ると 大声で その名を呼んだ。

「なんだ? 大きな声を出して」

不意に 何事も無かったかのように アメティストスの紫眼に光りが取り戻され 涙ぐんだオルフの碧眼を見返した。

「閣下… 何処にも行かないで下さい」

オルフは 自分でも 何故 そんな言葉が出たのか分からなかったが、そう言わずにはいられなかった。

「約束して下さい。 何処にも行かないと! この戦いが終わったら 皆と いつまでも一緒にいると… 約束して下さい!」


「ああ…、やく…」

オルフに気圧され 思わず応えかけたアメティストスは 言葉を飲んだ。

(ずっと、一緒にいようね!)

過ぎ去りし日の愛しき我が身の片割れが 口にした無邪気な言葉が蘇った。


「オルフ…、約束など 出来はしない。 この世に確かな事など 何ひとつ有りはしない」

「閣下!」


アメティストスは 静かに微笑んだ。

「だが、夢見る事は出来る。 そして、人は念い描いた夢を叶えようと 苛酷な運命と戦わねばならないんだ。 それが、人の背負った運命…でもある。 皮肉な事だがな…」


オルフは 紫水晶の光りを取り戻したアメティストスの瞳を じっと見返しながら、言葉の意味を 推し量ったが、その真意を理解仕切れない自分に気付いた。

だが、今は この言葉だけで充分。

閣下に何が有ろうと 自分が御護りするだけだ!


オルフは 不安を振り払うように、自分に言い聞かせた。


「オルフ…」

「…なんですか? 閣下」

そう言いかけて オルフは気付いた。 先程から アメティストスの両方の二の腕を がっしりと掴んでいる事に。

「閣下が、お困りだぞオルフ」

振り返ると、いつの間にか シリウスが 二人を眺めながら ニヤニヤと笑っていた。

「はわわっ! こ・これは、そんな心算ではなくて!」

慌てて 閣下から離れたオルフは 耳元まで真っ赤にして言い繕おうとしたが、シリウスのニヤニヤ顔を見ていたら 無性に腹立たしくなった。

「貴方は どうして いつもそんなに気楽なんですか?」

「深く考え過ぎなんだよ オルフ! お前さんはな…!」

「なんですって!? もう一度言ってみて下さい!」


また、いつものケンカが始まったとばかりに アメティストスは 二人を 放って置いて、再び 空を見上げた。

(いつまでも…、か…)


(いつまでも、一緒にいようね!)

空の上の遠い所から 懐かしい声が聞こえたような気がした。






カラカラと…


  からからと音がする…



暗く深い冥界の底で、

タナトスは 運命の女神が廻す糸車の音を聴きながら

  唇を噛み締めた。



タナトスの幻想は終わらない…



【運命の輪】 ……了


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