残念な時帰呼が綴る 残念な感じのON>OFF生活


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こんばんは(^0_0^)すっかりサボり癖がついてしまい、更新率がダダ下がりの時帰呼です。

実は、先日の所謂『ポッキー』の日に合わせてSSを一本書いていたのですが、間に合わず、今日、ようやく書き上がったので今更ながらアップさせていただくことになりました。 申し訳ありません(T-T)

そんなわけで、大変遅ればせながら、エレフとミーシャのポッキーゲームSSで御座いますが 宜しければ 以下へとお進みくださいませ。





【11,11,11】




「ねぇ、エレフ…」

珍しく読書に没頭していたエレフは 不意に背後からかけられた声に 頁から顔を上げ振り向くと そこにはポッキーを可愛い唇にくわえたミーシャの顔があった。

「うわっ!?」

その声に ポッキーをくわえたまま ミーシャは唇を尖らし 不満げな顔をした。 突然の事に 突拍子も無い声を上げてしまったが いくら無粋なエレフでも それが何を意味するのか知らない訳ではない。 彼の愛する妹は 世に言う『ポッキーゲーム』をしたいと言うのだ。

誰も居ないのは重々知りながら エレフは 此処『私立ミラ学園』男子寮の一画を占める自室を見回さずにはいられなかった。

いくら妹とはいえ… いや妹なら尚更、男子寮の個室で ポッキーゲームをしているところを 誰かに見られたりしたら大変だ。

特に用もなささそうなのに かなり離れた女子寮から急にやって来て 部屋に在る二つのベッドのうち 同室のオリオンのベッドの端に腰を下ろし 所在なげに足をパタパタさせていたのは どうやら “これ”をしたかったからのようだ。

「んっ!」

そう言って、ミーシャが身を乗り出して来たものだから、ポッキーをくわえた濡れたように艶やかな唇が すぐそこに迫り、マシュマロのように柔らかく弾力がありそうな薄桜色の頬が、とても魅惑的に見えた。

そういえば まだ、ふたりが幼い頃 ミーシャにせがまれて 頬にキスした事があった。 そうしたら ミーシャが、今度は唇にキスしてって言ったっけ…。 けれど そこに母さんがやって来て うやむやになってしまった。

もし あの時 母さんが帰って来なかったら あれが ふたりのファーストキスになっていたのかな? それとも、兄妹のキスはカウントされないのだろうか?

…なんて 回想をしてる間にも ミーシャが少しづつ顔を近付けて来る。ほのかな桃のような香りが鼻孔を突き エレフは何も考えられなくなりそうだった。


「あーっと、渡し忘れてたけれど エレフ この本も読むと 先日貸した本の内容を 更に深く理解する事が出来るぞ!」

突然 エレフの部屋の扉をノックもせずに 不必要なほど快活明朗な笑顔を振り撒いて ひとりの若者が入室して来た。

いつもながらウザさにかけたら 右に出る者の無い ミーシャとエレフの(信じ難い事だが)実兄レオンティウスだ。

こんな奴でも 一般生徒には絶大な人気があり あろう事か 私立ミラ学園の生徒会長を務めているのだから驚きだ。コイツの中身を知ったならば 大半の女生徒が幻滅するだろうことは想像に難く無い。

「おっと!? どうしたんだ? ふたり共、妙な顔をして…?」

レオンティウスは、エレフ達ふたりの顔を交互に見ながら言った。

(相変わらず空気を読むスキルが皆無な奴だ)

エレフは そう思いながら レオンティウスを睨みつけたが やはり学園一の朴念仁には、こうかは いまいちだった。 だが、次の瞬間 不意にレオンティウスの片頬が引き攣り 先程までの笑顔が凍り付いてしまった。
その異様な空気に エレフが 恐る恐るミーシャの方を見ると そこには輝くような満面の笑顔を湛え レオンティウスの瞳を真っ直ぐに見つめているミーシャがいた。

「…やっ、ミ、ミーシャ …」

なにやら、急に レオンティウスは、猛獣に狙われた小動物のように 膝を震わせだした。

「エレフっ…、こ・これは 此処に置いとくから…な!」

レオンティウスは 声を詰まらせながら抱えていた数冊の本を 床の上に投げ出すと 来た時同様に慌ただしく立ち去った。 どうやら 百獣の王の名をいただく男にも身の危険を感じるほど怖い物があるようだ。

一方 ミーシャはと言えば ニコッと笑いながら エレフの方に向き直り くわえたポッキーを上下にピンピン!と揺らしながら 更に顔を寄せて来ている。 その笑顔には なんぴととも抗えないだろう迫力があった。

覚悟を決めて 怖ず怖ずとエレフが唇を開き、ミーシャのポッキーの先をくわえようとした。 すると、またもや慌ただしい足音と供に金髪の若者が 部屋に飛び込んで来ると 開口一番 大声で叫んだ。

「知ってるか?エレフ! 今日は何の日か? 今日 11月11日にポッキーゲームをしたカップルは 永遠に結ばれるらしいぞ!」

また、コイツは誰に吹き込まれたのだろうか…? すぐにも分かる 他愛もないホラを単純に信じ込んでしまったようだ。

「購買部に行ったんだけど ポッキーが 全滅 売切れなんだ! どうしよう!? …って、あっ! ポッキーだ!!」

オリオンが ミーシャの手にしたポッキーの箱に気付き劇しく反応した。

「ミーシャ! それって、内袋が二つ入ってるはずだよね? 一つ譲って…」

そう言いかけた時 ミーシャは やおら 手にしたポッキーの箱を オリオンの顔目掛け投げ付けて叫んだ。

「出てって!!」

ミーシャのあまりの剣幕に 文字通り 一瞬 鳩が豆鉄砲を喰らったような顔をしたオリオンだったが 間一髪 顔面の前でポッキーをキャッチすると 弾けるような笑顔で礼を言うや否や踵を反し 来た時と同様 慌ただしい足音と供に走り去って行った。



「オリオンなんて…、嫌い!」

ミーシャは そう言ったあとに 突然 一箱限りの貴重なポッキーを オリオンに投げ付けてしまった事に気付き、叫んだ。

「大変!」

けれど すでに後の祭り、ミーシャの元に残ったのは短く折れてしまい床の上に落ちて粉々になったポッキーだけだった。 例年通り、今日 手に入りにくいのは分かっていたポッキーだったから 朝早く購買が開くと同時に買いに行ったのに…。

ミーシャが自分のした事に泣き出しそうな顔をしてていると エレフが やさしく肩をつついた。

ミーシャが 床の上に散らばった無惨な残骸から目を上げ振り返ると そこには はにかんだようなエレフの笑顔と その口元にくわえられた 僅か数センチの長さのポッキーがあった。

「…えっ!?…」

エレフは 黙ったまま ポッキーを指差している。


「…え? ぇえッ!!?」

どうやら、オリオンが入って来た時、エレフはポッキーの先をくわえていて、辛うじてポッキーの先が彼の口元に残ったようだ。

ミーシャは エレフの言わんとしている事に気付いた。

「だって、それじゃぁ… すぐに…」

エレフは なおもニコニコしながら ミーシャの瞳を真っ直ぐに見つめて 待っている。

ミーシャは エレフの瞳を、おずおずと見返すと 頬を真っ赤に染めて言った。

「エレフ! 大好き!!」





 《閑話休題》

その頃、私立ミラ学園男子寮から程近い教員宿舎の一室から 突然『ぶるぅわぁァーー!!』という雄叫びが響き渡り、その直後 ひとりの金髪の生徒が脱兎の如く逃げ出すのが 複数の生徒に目撃されたのだった。



【11、11、11】…… 了



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