残念な時帰呼が綴る 残念な感じのON>OFF生活


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おはようございます(^0_0^)本日は久しぶりのSSです。

舞台は イーリオン脱出後のエレフとミーシャとオリオンの三人旅の途中のなんて事の無い一幕。

何となく思いついた なんて事の無いお話しです。





【笑顔】


かさかさと枯葉が 風に巻かれ舞い上がった

其れを目で追うと灰色の空が広がっていた

その空の色は 本格的な冬の訪れを告げている。


何度も何度も 来た道を振り返ってしまう
もう既に 追手など 捲いてしまったのは分かっているのに…

そりゃあ、奴らも必死だったろうさ。
逃亡奴隷をひとり許してしまえば 後から後から逃げ出す奴が出てきちまうからな。
けど、此処まで来れば いくらなんでも もう大丈夫なはずだ…

それでも、何度も夢に見てしまう。 あのイーリオンでの悪夢の続きを

止そう…、もう済んだ事だ。
 今では まったくの自由の身 何処へ行くのだって 自分の思うまま 気の向くまま
 

其れに…


背中でミーシャが「ううん…」と寝言を言った。

そう、今では ミーシャが 此処に居る

歩き詰めに歩いて来たもんだから すっかり足が豆だらけになってしまって

「もう、歩けないよ!お兄ちゃん!」なんて 我儘を言ったりするけれど

今では 大切なミーシャが此処に居る。

それにしても、女の子って けっこう重いものだな。
そりゃあ、イーリオンの城壁の石に比べれば 屁でもない事は間違いないけれど
なんだか、柔らかくて ふわふわしていて あったかくて 掴みどころのない感じ

(うんん… 俺、何を言っているんだろう?)

自分でも 良く解らない気持ちが 胸一杯に溢れて来て なんだかおかしな気分

不安定な気分

そうだ! 一日中こき使われた後に 奴隷小屋へ帰って来て ようやくあり付いた一杯の薄いスープと一片のパンを両手に持って 藁を積んだだけの薄汚いけれど それでもあったかな寝床へ ゆっくりと晩飯を溢さないように用心しながら歩いていた時の気分に近いのかも知れない。

そんな事を 考えていたら お腹がグゥゥ~と大きく鳴った。

「おいおい、でっかい腹の虫を飼ってるんだな!」

後ろから オリオンの陽気で無神経な声がした。

「うるさいな! 仕方ないだろ! もう三日も食べてないんだから!!」

「そうだな、そう言えば…」

グゥゥゥウ~っと オリオンの腹の虫も大きな声で不平を述べた。

「仕方がない では ひと働きしてくるか! エレフ お前はその辺の風の当たらないところに寝床を用意しておいてくれよ!」

そう言うとオリオンは一陣の風のように身をひるがえし藪の中に姿を消した。 きっと手製の弓矢を使って 何か獲物を捕りに行ったんだろう。 頼りになるのか 成らないのか さっぱり掴みどころのない奴で 時々腹の立つ事もあるけれど 何故だか気が合うから不思議だ。

さてさて、奴が帰ってくる前に寝床を作って 火を起こしておかないと 奴に何を言われるか判ったもんじゃない…。 俺は、大きな木の根元にミーシャが目を覚まさないように気をつけてそっと下ろすと、急いで樹の枝や枯葉を掻き集めて風避けを作り始めた。

旅の初めは 随分苦労したけれど 今では火を起こすのだってお手の物。 あっという間に懐から取り出した石をカチ合わせて小高く積み上げた枯れ木の下に敷いた枯葉に火を付けた。 後は消えないように気をつけながら 少しづつ大きな枝を足して行けば準備完了 オリオンの帰還を待つだけだ。

「エレフ…?」

ミーシャが 寝ぼけ声で 俺の名を呼んだ。

「起きたのか? 足は大丈夫?」

「ちょっと痛い…」

見ると、真っ白い足のあちこちに擦り傷や引っ掻き傷が沢山あって痛々しい
けれど、今はどうする事も出来ないから エレフは そっとミーシャの足を撫でながら言った。

「明日になったら 綺麗な水を見つけて傷を洗おう。 其れまではがまんしてよ」

「うん、大丈夫 ありがとう」

ミーシャの笑顔は 焚火の火よりもずっと暖かい。 見ているだけでほっこりと幸せな気分に成れて 思わず微笑んでしまう。

そうしたら、ミーシャも幸せそうに微笑んでくれて こっちももっともっとニッコリと微笑んでしまって…

「おいおい、何やってんだ? 気持ちの悪い奴らだなぁww」

不意に聞こえたオリオンの声にドキリとして振り向くと 其の手には大きな野鼠がぶら下がっていた。

「今晩は 御馳走だぞ!!」

得意満面のオリオンの笑顔を見て、ミーシャと俺は 顔と顔を見合わて 思わず苦笑いをした。


  【笑顔】……了
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