残念な時帰呼が綴る 残念な感じのON>OFF生活


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あけましておめでとうございます(^0_0^)

年末から 更新をサボっていた時帰呼です。

去年は 大変な一年になってしまいましたが 今年は 舞い上がる龍のように 日本中が復興し 更に前進する年になる事を祈っています!

年末から 大切なお友達に相方が出来たりして 幸先は良いはずなんですよね!

そんな中で ちょいとネガティブなSSを投下^^;



題材は Moiraになります。

ちょっと暗いけど 桶の方は 以下にお進み下さいませ。





【嵐のあと】

よする波 かえす波

どこまでも続く白浜に打ち寄せる波が嵐の名残りを思わせたが、照り付ける陽光は 濡れた砂浜にキラキラと反射して 天候は昨夜の荒ぶり方が嘘のように回復して行く事を彼に教えてくれた。

白砂に足を取られ よろめきながら波打ち際に歩を進めた老人は 打ち寄せられた夥しい数の船の破片を見つけた。

「なんと酷いことを…」

彼は そっと目を伏せると何事か呟き始めた。 もし それに耳を傾ける者が居れば 彼が死者に手向ける唄を歌っている事に気付いただろう。

だが、その歳老いて皺枯れた声は 晴れ渡る空に吸い込まれ 誰の耳にも届きはしなかった。 そう、白浜に横たわる年端もいかぬ少年の遺体以外には…

死してなお少年の両足に嵌められたままの足枷を見ると どうやら奴隷商人に売られる船旅の途中に 嵐に見舞われ命を落としたのだろう。

「Moiraよ…」

ひとしきり死者へ唄を捧げた後 彼は 天空を睨み 怨嗟の念いを込めて女神の名を呼んだ。


…と、その時 ガクリッと少年の遺体の口が開き 一匹の蟹が這い出した。 長年の放浪で陽に焼けた額に刻み込まれた皺を更に深くし眉を潜めた老人が手にした杖の先で その蟹を叩き潰そうとすると声がした。

「酷イコトヲ、スルナ…」

死んだはずの少年の口から その声が聞こえた… 降りしきる明るい陽光のもとには似つかわしくない地の底から聞こえるような忌まわしい声が…。

「小サキモノニモ 等シク命ハアルノダカラナ」

ソレは 言った。

「そうだったな…」

彼は 杖を引くと そっと応えた。
もの心ついた頃から 微かに聞こえていた その声は、歳を重ねると共にはっきりと聞こえるようになり、今では すぐそこに居る長年の友人が語りかけて来るかのようになっていた。


「何処マデ 逝ク心算ダ? イツマデ… 何ヲ、捜シ続ケルノダ… コノ無慈悲ナ地上ヲ…」

「さあ…な…」

だが、旅の終わりが近い事は 彼にも分かっていた。 かつて双剣を携え戦場を駆け抜けた頃には 何処までも行けると信じていた事が 今では、まるで他人の夢の中のように現実感が無くなってしまっていたのだから。

海風が 頬を撫でた… 遠き昔に失くした愛しき者が 両手で包み込んでくれた あの日のように

そっと、優しく…


嗚呼、赦してくれ…

私には 他に どうする事も出来なかったのだ

ひとつの命が失われ、その代償として より多くの命を奪ってしまった この私を…

「母ハ、懺悔ナド聞イテハクレヌゾ…」

クツクツと死した少年の洞穴のような口が笑った。

だが、老人はその声には耳を傾けず 背を向けると 杖に縋りながら また歩き出した。

その紫の双眸は 砂に足を取られながらも 宛ても無い行方を凜と見据えていたが、それは 目に映るモノから目を逸らす為である事に 彼自身も気付いてはいなかった。


「ネクロス…」

立ち去る老人の背に向けられた その声は 何処までも優しく 何故か哀れみの響きを帯びていた…。



【嵐のあと】……了
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