残念な時帰呼が綴る 残念な感じのON>OFF生活


総閲覧者数: 現在の閲覧者数:

2017/06123456789101112131415161718192021222324252627282930312017/08


上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
こんにちわ(^0_0^)

今日はビックサイトでコミティアが開催されていたのですね。
参加されていた方々は そろそろ引き上げている途中でしょうか?
楽しい一日になった物と思います。お疲れさまでした!

さて、コミティアに行けなかった時帰呼は 当ブログで不定期連載(?)している季節ネタSSを書いていました。 今回は 2月という事で『バレンタインDAY』を題材にしてみました。 舞台は昨年の11月にアップした『ポッキーDAY』と同じ全寮制私立ミラ楽園です。

例によって例の如く、本編銀盤とは 全く関係の無い幸せ設定です。
それでも 構わない! いっちょ読んでみようと言う奇特な方は 以下へお進みくださいませ。



【バレンタインDAYのお話し】





此処は、幻想ギリシャとは異なる地平線に在る 幸せいっぱいの全寮制私立ミラ学園
今日も おかしな出来事が始まる予感が……。



ある早春の昼下がり、いつものように女人禁制の筈の男子寮に大手を振って入って来たミーシャが 何やら四苦八苦しながら机に向かっているエレフの顔を覗き込んで唐突に言った。

「今日は 何の日か知ってる?」

(知らない訳がないじゃないか)心の中で そう呟きながらエレフは笑顔で応えた。

「さぁ、何か特別な日だったかな?」

途端に ミーシャが不満げに頬をプクッと膨らませた。

「知ってるくせに!」

(ならば、聞かなければ良いのに)けれど、これ以上 意地悪をしても仕方がない。エレフは 書き物をしていた手を止め ミーシャに向き直った。どちらにせよ、義兄上から言い遣った書類整理など 元々自分に向いていない仕事なのだ。そんなことより もっと大切な事がある。今日という日を待ちわびていたエレフは 可愛い妹のふくれっ面を十二分に楽しんだ後 やっと思いだしたというかのように照れ笑いを浮かべながら言った。




「バレンタインDAY… だったかな?」

「もうっ!意地悪するなら 今年はあげないぞ!」

(おやおや、これは 少しばかり焦らし過ぎたのかもしれない)エレフは ミーシャの手を取りキュッと握りしめ 素直に謝るしかなかった。

「ごめん、ミーシャ。忘れてたわけじゃないんだ」

「ふぅん、あやしいものだわ…、でも許してあげる。だって私の大切なエレフなんだから! はいっ!」

「ありがとう!ミーシャ」

毎年、心からの感謝を伝えようと思うのだけれど 俺は口下手だから こんな言葉しか出てこなくて 自分が嫌になる。 手渡されたのは市販品のチョコレート コンビニなんかで売っている類の物だ。 ミーシャはこう見えて 結構不器用だから手作りチョコレートとかは望んでないけど ちよっとばかり味気ないのは否めない。 いやいや、贅沢を言っているのは分かっている。けれどこれには 訳があるんだ…。

とか思っていると そこに親愛なる兄上レオンの奴が遣って来た。

「やぁ、ミーシャ!さっきはありがとう。さっそく頂いているよ」

其の手には 俺がミーシャからもらったものと同じチョコレートが握られ、あろうことか、レオンは其れを歩きながら食べていやがる。 ああ知っているさ こいつに悪気なんかないって事は。 ミーシャに貰ったチョコレートが嬉しくって すぐに食べたくなってしまっただけなんだ。 けれどもっと、こう何と言うか… 大事に、ミーシャの事を思いながら ゆっくりと味わう事は出来ないのだろうか? そう思うとイラッとさせられる。

それに何より納得いかないのが この無神経な兄上と彼女と同時に生まれて来た双子の兄と 何故 毎年 同じチョコレートなのかということだ。ミーシャにとって 俺は こんな奴と同程度の扱いなのか? どうにも納得がいかないじゃないか! だが、そんな事を顔に出す俺じゃない、それに ミーシャ自身がレオンの様子を見て 大きな溜息を吐いているのだから わざわざ親愛なる兄上に忠告申し上げる必要も無かろう。

「どうだ? 仕事は捗ったか?」

けして広くも無い俺の部屋に 今度は この学園の数学教師にして教務主任であり学生寮の舎監を兼ねる僕とミーシャとレオンの完璧なる義兄スコルピオスが遣って来た。

「義兄上、この部屋の様子を見て 捗っているように思えますか?」

「うむ、そうは見えないな。又、出直す事にする。大事な書類だ 明日の朝までには しっかり頼むぞ」

「そんな大切な書類なら ご自分で…」

「これも、お前の将来の事を思っての課題だ。不平を言うな」

スコルピオスが やれやれと肩をすぼめ立ち去ろうとするとミーシャが声をかけた。

「義兄様 あとから伺おうと思っていたのですが、これを…」

其の手には 俺やレオンよりも ふたまわりは大きな箱が捧げ持たれていた。 そう、納得のいかないもう一つの原因はこれだ。 この年の離れた義兄上が心から敬愛する人物とはいえ、何故、彼女と同時に生まれて来た双子の兄よりも大きなチョコレートを貰えるかということだ。

「ああ、すまないな。そんなに気を使わなくとも良いのに」

そう言いながらも 満更でもない表情を見せるスコルピオスだが 実は甘い物は苦手だと言う事を俺は知っている。 其れでも それを口に出さないところが 多くの生徒に畏怖の念で見られている彼が持つ本来の優しさの一面なのだろう。 そう思うと溜息をひとつ吐くだけで ミーシャに何も言えないエレフだった。

「おお!? 皆さんお揃いで、どうしたの?」

突然、無意味なほど やたらと明るい声に部屋の入口に目をやると 其処には朝早くから弓の稽古に出かけていた この部屋の同居人オリオンが居た。

「あっ!ミーシャ!! もしかして、俺に何か持って来てくれたんじゃないの?」

図々しいにも程があるが これがいつものオリオンだから仕方がない。
ミーシャも げんなりした顔をしながらも手にしたトートバッグから小さな包み紙を取り出しオリオンに手渡した。 途端にオリオンの笑顔が引き攣る。 其れもそのはず オリオンには チロルチョコ一個だけだったのだ。

「あんたには 去年のポッキーの日に貸しがあるんだから これで充分でしょ?」

そういえば、昨年の11月11日に ミーシャからポッキーをオリオンが貰った一件があったな。 …と、あの時の事を思い出すと 少しばかり照れくさくなってエレフは頬を赤くした。

「あ・ありがとうミーシャ」

健気にも笑顔でオリオンがチロルチョコを胸に抱いて礼を言う。 そう、こいつは なんだかんだ言ってもこういう所があるから憎めない。

「良かったな オリオン。ところで、道を開けてくれないか?」

入口にオリオンが立っていたものだから 部屋から出られないで困っていた身体の大きなスコルピオスが声を掛けると オリオンは飛び退くように横に身体をずらした。 すると、その背後には 僕やミーシャ、そしてレオンの母上であるイサドラが立っていた。

「こ‥これは、失礼しました!」

途端にスコルピオス義兄の首から上が その赤髪よりも もっともっと赤く染まる。

「あらあら、こんなに集まって何かあったの? 忙しいようなら 私は出直して…」

「とォんでもありません!! いま退出しようと思っていたところです。ささ、中にお入りください」

スコルピオスが頓狂な声を出す。どうも色恋事には隠しごとの出来ない性格らしい。

「いえいえ、お待ちになって、貴方にも用事があったの」

呼びとめられたスコルピオスは まるで機械仕掛けの人形のように180度くるりと振り返った。


「母上、ようこそ このようなむさ苦しい所への急な御越し 如何なさいました?」

レオンが 四角四面の挨拶をする。 こう言う所がこの男のイラッとさせるところだ。しかも、人の部屋をむさ苦しいだと?

「ふふふ、今日は何の日か知ってますか? 貴方達は…」

血は争えない。ミーシャと同じ言葉が その美しい唇から問いかけられる。

「バレンタインDAYです。母上!」

レオンが またもや生真面目に答えた。

「そうそう、だから これを皆さんに持って来たの」

イサドラが合図をすると 執事のカストルが大きな手提げ袋を持って現れ、その中から イサドラが綺麗なリボンの付いたプレゼントを取り出しスコルピオスに渡した。

「こ・これを私にですか?」

先程のオリオンのように 今度はスコルピオスが その包みを胸に抱いて感謝の言葉をイサドラに伝える。 何とも微笑ましい限りだ。 そう思って、ニヤニヤしていると もの凄い眼で義兄上に睨まれた。 くわばらくわばら!

スコルピオスを最初に 次々とプレゼントが皆に配られる。 ミーシャにも ひと際綺麗なリボンと包装紙のプレゼントが手渡された。

「私にも!? ありがとう!お母様!!」

「ふふ、男の子ばかりにでは不公平かな?と思って。気に入ってもらえたかしら?」

「勿論!お母様、大好き!!」

ミーシャが思いっきり抱きついたものだから イサドラがバランスを崩しかけ、咄嗟にスコルピオスが二人を支える。

「まぁ!ありがとう」

そのイサドラの言葉に スコルピオスの顔が焔を噴き出すかのように真っ赤になってしまったが、今度は 其れを見て苦労しながらもエレフはニヤニヤしない事に成功した。

「ありがとう 母さん」

「ありがとうございます 母上!」

一同にプレゼントが渡ると 皆が口々にお礼を言ったが、その中にあっても ひとりだけ自分の鼻を指差しながら 必死で自分の存在をアピールしている奴が居た。オリオンだ。

「あら? 貴方はどなたでしたかしら?」

うむ、たしかに この中に在ってオリオンは 門外漢と言えるが、これは さすがに哀れになってしまった。
あの陽気な男が、今にも泣きそうな顔で立ちすくんでいるじゃないか。

「母さん、こいつは僕の同室の友人オリオンですよ。以前 紹介したこともあった筈ですが…」

「あら、そうだったわね…。困ったわ、もうチョコは残ってないのよ」

「い・いやぁ、大丈夫です エレフのお母様。 僕には、これが有りますから」

オリオンは 健気にも涙を堪えながら 先程ミーシャから貰った 手の平の上の小さなチロルチョコを指し示した。 仕方ない…、こんなに 殊勝な所を見せられては、ほおって置く訳にもいくまい。

「母さん、御赦しを頂ければ 母さんから僕が貰ったチョコを少しコイツに分けて遣りたいと思うのですが」

そう提案すると、心から困り顔だったイサドラの顔が 少女のようにパッと明るく輝いた。

「ええ、そうして差し上げて。 ごめんなさいねオリオンさん。来年にはきっとプレゼントするから」

「ありがとうございます!」

さっそく オリオンは元の陽気な声に戻って 元気いっぱいに礼を言った。
まったく現金な奴だ。少々呆れながらも エレフが丁寧に綺麗な包装を開くと 中からは様々な種類の沢山のトリュフチョコが出て来た。 どれもこれもすごく美味しそうで 少しばかりオリオンにくれてやるのが惜しくなったが これも約束だ。 俺達の会話を聞きながら ニコニコして母さんからのチョコを さっそく我慢しきれずに食べだしているレオンを尻目に その中の幾つかを取り出し エレフは無造作にオリオンにチョコを手渡した。

「折角の母さんからの心遣いなんだ。味わってゆっくり食べろよ!」

するとオリオンは其れを受け取り、大喜びで叫んだ。

「うわぁい!エレフにチョコを貰った!!」

其れを聞いて レオンが口に入れた食べかけのチョコを噴き出した。

「馬鹿野郎! 人聞きの悪い事を言うなァ!!!!!」

オリオンが 俺に思いっきり殴り倒されたのは言うまでも無い。


【バレンタインのお話し】……了



スポンサーサイト
 コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。