残念な時帰呼が綴る 残念な感じのON>OFF生活


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こんにちわ(^0_0^)というか もうこんばんわに近い時間になってしまいましたね。

本日は 全国あちこちで イベントが開催されていたようで 自宅に籠りっぱなしだった時帰呼は羨ましくてゴロゴロしていました。 そうでなくても お休みの日には一日中ゴロゴロしているのですがねww

さて、そうはいっても 何もせずに一日過ごしているのは あまりにも勿体ないので ごく短いお話しを書いてみました。

舞台はアルカディア いつもと変わらずスコピーの自室に籠っていたオリオンとスコルピオスのなんという事の無いお話しです。 時帰呼の書くお話ですから(たぶん)腐要素は無いので 安心して読めますよwww 

暇つぶしに いっちょう読んでやろうかという奇特な方は 以下へお進みくださいませ。





【三つ編み】

そろそろ冬の冷たい風も やさしい春の温かさを帯びて来た三月。
開け放たれた窓から吹き込んでくる風に頬を撫でられながら オリオンは所在無げに足をバタつかせていた。

目と鼻の先の窓際に置かれた執務机に向かってスコルピオスが 何やら難しそうな書物を読みだしてから もう数時間が過ぎようとしていたが 一向に自分の方を振り向いてくれない事に 少しばかり腹が立って来たオリオンだった。

春の明るい日差しが スコルピオスの赤い髪を透かして 其れこそ燃え上る焔のように見せている。希代の戦略家と謳われる彼の頭の中で 今 どんな事が渦巻き繰り広げられているのかは知れないけれど 傍目には 春めいた陽気の中で のんびりと読書する初老の男にしか見えなかった。


 うむ、初老と言うには まだ若い筈なのだが、長年 各地を転戦して来た彼の肌は照りつける陽光に褐色に焼かれ 眉間には深い皺が刻まれていたものだから 実際の歳よりも ずっと年老いて見えてしまうのだ。

けれど、オリオンは そんなスコルピオスの容貌を 何故か好ましく思えて仕方がなかった。 もしそんな事を彼に言ったものならば 途端に激しい叱責の言葉が烈火のごとく吐き出されてしまうのだろうから オリオンはそんな事を口に出して行った事は 一度としてなかったのだが…。

スコルピオスの背後の寝台に いつものように腰を下ろしたオリオンは そんな事を考えながら 彼の髪から数本のおくれ毛が跳ね上がり、後頭部で一本に束ねられた三つ編みが解け掛けていることに気付いた。 几帳面な彼にしては珍しい事だから 一度気付いてしまったら 気になって仕方がなかったが、読書に没頭する彼に そんな細かい事で話しかけると これまた彼の逆鱗に触れそうで オリオンは言い出せないでいた。

「いつまでそうしている心算だ?」

もう数年ぶりかってくらい久しぶりに スコルピオスが不意に口を開き背中越しに オリオンへ話しかけて来た。

「別に…」

内心 飛び上がりたいくらいに その何気ない言葉が嬉しかったが、オリオンはそんな事など おくびにも出さずにそっけなく答えると 相も変わらず、背中を向けたままで スコルピオスは言葉をつづけた。

「良い若い物が こんな良い天気に部屋の中に籠っているなど、感心しないな…」

「あんたこそ、こんな所に籠っていずに たまには気晴らしなどした方が良いんじゃないのか?」

少しばかり肩をすぼめて スコルピオスが返した。

「気晴らしならしている……」

「気晴らしって、その読書がかい?」

「ああ、命の遣り取り等せずに こうしてのんびりしていられるのは 幸せな事じゃないのかな?」

その時間を得るために どれ程 貴方が身命を賭して戦場を駆け回って来たのかを 少しだけなら俺も知っている。 この束の間の平和を感受する為に どれ程 貴方が血を流して来たのかを 少しだけならば 俺も見てきた心算だ……。

そして、貴方が愛する祖国アルカディアの愚鈍なる王デミュトリウスが 貴方に与えた褒美が こんな小さな東屋同然の私室と 僅かばかりの金と有り余る退屈な時間だけだって事も 俺は良く知っている。

「東の果ての地イーリオンに 奴隷軍を名乗る者共の集団が迫っているのを知っているか?」

物思いに沈む俺に スコルピオスが問いかけた。

「ああ、噂だけなら聞いているよ。 けれど、軍と言うには些かお粗末な有象無象の寄せ集めだって話じゃないか。 難攻不落の要塞都市イーリオンを落とす事など出来るわけないと思うけどな」

「ああ…、ならば 良いのだがな……」

スコルピオスにしては珍しい 少々引っ掛かる物言いだ。 オリオンはゆっくりと立ち上がると スコルピオスの背後に立ち そっとその肩に両腕を巻き付けた。 こうするとスコルピオスの髪から 日向に干した麦藁のような甘くて芳ばしいような… そうだな、日向の匂いがする。その匂いが オリオンは大好きだった。

「何か、企んでるの?」

「もし、そうだとしても 今の単細胞のお前に話す心算はないがな」

ふふんと 小馬鹿にしたようにスコルピオスが笑ったものだから オリオンは彼の首にまわした腕に少しだけ力を込めて締め上げた。

「言ってくれよ、俺だって 少しは世の中の理不尽な仕組みに抗ってみたいと思ってるんだ。 あんたみたいにね」

書物から手を話したスコルピオスが オリオンの髪を撫でた。

「時期が来れば…な」

締め上げていた両腕の力を緩め オリオンはスコルピオスの背に自分の胸を合わせ 彼の温もりを出来るだけ感じようとした。

なんで、敵国はおろか自国の国民からも蛇蠍の如く忌み嫌われる男の事が これほど愛おしく思えてしまうのだろうか? 其れがオリオンにとっては 謂わば最大の謎だったのだが 敢えて其の答えを求めようとも思わなかった。 どうせ 答えを求めたって 其れに答えてくれた事など 一度としてなかったのだから……。(なぁ、そうだろ? Moiraよ……)

物ごころついた時には奴隷として自由を奪われ、毎日を虫けらの如く無意味に過ごして来た自分の価値を 初めて認めてくれた此のスコルピオスと言う男の為ならば オリオンは何も怖くは無かったし 何を失おうとも構わなかった。 たった一つだけ望む物は 此の男の夢に描く理想の国を作り上げる一助になり、その国を 此の眼で見る事だけだ。

「何を怖い眼をしているんだ? お前らしくない」

スコルピオスが顔を横に向け 自分の肩の上に載せるようにしていたオリオンの顔の蒼い瞳を覗きこんで訝しげに言った。

「別に…」

少し怖い顔をスコルピオスがする。

「…いや、あんたの傍に いつまで一緒に居られるのかなって考えていたんだ」

「そんな事は 我々死すべき者の図り知るところではない。 私やお前に出来る事は 如何に抗うかと言う事だけだ」

「あんたの口から そんな言葉が吐かれるなんて思いもしなかったな。 あんたなら 運命の女神でさえも捩じ伏せて屈服させると言い放つものだと…」

「私が そんな傲慢な男に見えるのか? お前には?」

少しばかり右の唇の端を上げてスコルピオスが奇妙な笑顔を浮かべた。 そんな微妙な笑顔でさえ、余人に見せる事は無い事を知っているオリオンは 其れだけで心の中に柔らかな明かりが灯ったように思えた。

「なぁ、スコピー 髪が乱れてるぜ。結い直してやろうか?」

スコピーが 身の回りの世話係の奴隷女や女官に任せたりせずに 毎朝苦労して自分の髪を結っているのを俺は知っている。 合理主義のスコピーが 何故そんな無駄な時間を費やしているのかは、知らないけれど。

「…うむ、そうだな、頼むか……」

そう言って、スコルピオスが腕を組み、瞑想するように目を閉じたので、俺は そっとスコルピオスの三つ編みを留めていたリボンを取ると優しく手櫛で髪を解きほぐした。

「櫛なら 其処にある」

スコルピオスの指し示した先、机の上の小物入れに入っていたのは 繊細な細工を施された鼈甲の女物の櫛だった。 其れは 良く手入れをされていて 日の光りにかざすと夏の夕日に照らされた川の水面の輝きのように美しく見える。

「誰の櫛だい?」

いつもなら 詮索じみた事は利かない事にしているのだけれど、この品物があまりにもスコルピオスの持ち物には不釣り合いに思えたものだから つい聞いてしまった。

「……」

「ごめん!」

その質問に 一瞬 身を固くしたように思えたスコルピオスに オリオンは咄嗟に謝ってしまった。

「…母の櫛だ」

スコルピオスの言葉には 常とは違う響きを感じさせたが、オリオンは、敢えて其れには触れないようにして その櫛で彼の髪を梳いた。 長年使い続けてきて髪の油が適度にしみ込んでいる所為か 少しも引っ掛かる事無く 綺麗に梳かしてゆく事が出来る。 きっと、はるか昔 スコピーが幼いころに 彼の母親もまた 今の俺のように髪を梳かしていたんだろうな。そう思うと 先程のスコピーの言葉に帯びていた寂しい響きの訳も分かるような気がした。

机の上には、閉じられた本。 開け放たれた窓からは初春の風。 何処からか聞こえてくる小鳥の囀る声。 そして、オリオンの鼻腔をくすぐる日向に干された麦藁のような香り。

「あっ、言い忘れてたけれど 俺、あんまり三つ編みは上手くないからね」

オリオンが そう言うと、スコルピオスが またもや右の唇の端を上げ笑った。

「初めから上手く出来る事など何もない。少しづつ覚えれば良い。
 お前は、まだ若いのだから……」

「なんだか 今日のスコピーは、らしくないぜ?」

「そうか?」

スコルピオスは 再び目を閉じると オリオンの為すがままに身をゆだねていたが しばらくすると微かな寝息を立てて寝入ってしまった。

「スコピー?」

オリオンが声を掛けてみたが 返事は無く、まるで赤子のように寝てしまっている。
肩を竦めたオリオンは諦めて 仕方なく慣れない手つきで髪を梳き続けた。



【三つ編み】…… 了


 



  
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 コメント
この記事へのコメント
サンこそ!!お疲れ様でございましたm(__)m深々
時帰呼さんの お、ひ、げ、に、ちょいと衝撃をうけた゜マ~プル。です

時帰呼さんの作品って、ほのぼの~ふんわり~ホカホカと心がアルカディアに飛んでいってしまいます
風と光が見えるようで…(ギリシャと言えば岡山県の牛窓に昔W行きました、んで海を見下ろす場所にギリシャの柱がありました!テレビを見ない゜マ~プル。さんはその程度しかギリシャのイメージがわきません)

Marchen本が主流のサンこそで、やはりレオンをエレフを捜してしまう…ミラ☆のセイッ☆

いえいえ時帰呼さんのセイッかも!?←チョー勝手な見解です

ホカホカふんわりの苦虫をかみつぶしたスコピー殿下の笑顔を深く静やかに書ける作家さんは時帰呼さんだけでわ☆
失礼ながら年齢のセイッかしらん(年上の゜マ~プル。さんが言うのは失礼ぢゃありませんよねニコッ)

キラキラと爽やか風風が吹き抜けるアルカディア…

映画を見るように情景が浮かんできます

ハフ~今夜も良く眠れそうです。。。
2012/03/25(日) 23:42 | URL | ゜マ~プル。 #nft/jt/c[ 編集]
>゜マープル。さんへ

サンこそお疲れさまでした(^0_0^)
今回も ご訪問ありがとうございました。
新刊は 今までにない難産の末にようやく出す事が出来ましたが
いささか判りにくい内容になってしまい 申し訳ありません;;;

私は メルヒェンも好きなのですが やはりMOIRAが大好きなので これからも書き続けて行きます。
勿論 全てのキャラを等しく愛しているので レオンやエレフも大好きです(^^*
゜マープル。さんのお気に召すお話しがこれからも書いて行けるように頑張って行きたいと思います。

映画の様に情景が浮かんでくると言われると とっても嬉しいです。 もっともっと精進致します。
それにしても、岡山に そんな素敵なところが有るなんて知りませんでした。
きっと岡山の環境や気候がギリシャに似ているのでしょうね。 一度行ってみたいものです。

最近 更新が少なくて申し訳ありません。
ブログも 作品も もっともっと頑張りますので、今後ともよろしくお願いいたします。
2012/03/26(月) 06:01 | URL | 時帰呼エトワール #-[ 編集]
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