残念な時帰呼が綴る 残念な感じのON>OFF生活


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【星屑】の続きです。

スコ…、いや アルギュロスの性格が ちょっと本編のあの人とは違いますね(^^;



 【星屑】その6 


「…どなた?」

ミーシャが そう言いながら、足元のプルーの背に そっと手を置き、伏せの合図をすると 黒銀の獣はおとなしくそれに従った。
「驚かせて申し訳ありません。 ずいぶん立派な飼い犬をお持ちですな。 しかし、私は あまり犬という物が好きではないので 出来るならば何処かに繋いで置いて頂けると助かるのですが」

「ふふ、立派な体格をなさっているのに…。見掛けに因らず この子は大人しいから大丈夫ですよ。けれど、夜分に女性の部屋を訪れるのに名乗りもしない殿方には…」

そこまで聞いて男は 慌てて遅ればせながらの挨拶をした。

「これは失礼した。私の名はアルギュロス、ラコニアの交易商人です。 実は、恥ずかしながら レスボスの神殿への参拝の帰り道に迷い困窮していたところ、ふと見ると この部屋の明かりが目に入り、 罷り越した次第です。 哀れな道に迷う者に行く先を指し示すのがレスボスの巫女様の御役目だと伺っております。ひとつ私の行く先を御教授願いたいのですが」

アルギュロスと名乗る男の纏う雰囲気からは 想像しなかった軽妙な語り口に ミーシャは思わず吹き出しそうになった。多分、不意の訪問で驚かせた乙女に対する この男なりの気遣いでなのだろう。

「こちらこそ失礼をしました。けれど、私は いまだ修行の身 人の行く末を指し示す事など出来ません。なれど、宿への帰り道を指し示す事くらいなら出来ると思います」

ミーシャの冗談を交えた堅苦しい物言いに 今度は アルギュロスが吹き出しそうになる番だった。

「ふふっ、ならば一つ 帰りの道筋をご教授願いますかな? 巫女どの」

「私の名はアルテミシア。ミーシャと…、御呼び下さい」

「おぉ!御身に相応しい美しき名前、では私のことは、アルギュロス、出来ましたらアルと御呼び下さい…、ミーシャ‥どの

「アル‥ギュロス…、では、アルと、そう呼ばせていただきます。 でも 、こんな夜中まで 熱心参に拝だなんて、信仰深い方ですのね」

そう言いながらも ミーシャは、夜分 想い人の巫女を訪ねる殿方が稀にいる事を思い返していたが 口には出さない慎ましやかさを心得ていた。


「それにしても、つかぬ事を伺いますが、そのテーブルの上の綺麗な小石は 何かのゲームですか?」

アルが、まるで宝石のように磨き上げられた盤上の小石を指して尋ねた。

「いえ、これは 天空の星々を象った物です。私は レスボス始まって以来の出来の悪い生徒ですから、 こうして毎夜、星の導きを知る為の勉強をしているのです。 ‥と言うより させられているのです」

ミーシャは その時 初めて 心よりの笑顔を浮かべ言った。

「成る程、先程の女性が 貴女の個人教授というわけですな」

「あら、やはり 先刻から様子を見ていたのですね。 今夜は 風の匂いが違うと思っていました」

アルギュロスは 苦笑いを浮かべながら謝った。(犬にさえ気付かれずに潜んでいたというのに…?)

「重ね重ね、失礼を‥、どうも、あの方の雰囲気が 幼少の頃、私の世話をしてくれていた ある男に似ていたので立ち去って頂けるのを待っていたのです」

「大丈夫ですよ。 何か不埒な事を考えているようなら プルーが黙ってはいないでしょうから」

ミーシャの言葉に半ば眠りこけていたプルーが また眼を開けた。その眼は 彼の黒銀の毛並み同様に 一見、漆黒に見えたが 壁に掲げられた灯明の光りを透かして見ると 少しばかり紫水晶のような色を帯びている事に気付き、何故かは分からなかったが不意にアルギュロスの背筋に冷たい物が流れた。



   ……to be continued
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