残念な時帰呼が綴る 残念な感じのON>OFF生活


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まだまだ 調子が出ないけれど なんとか文章を書いています。

掲載間隔があいてしまい 申し訳ありません。


【星屑】の続きです。







【星屑】その10


「もう!この仔ったら」

ミーシャが 少しばかり声を大きくすると 黒犬は小さく クゥーンンと物悲しげに鳴いた。

それを見たスコルピオスは 内心ホッとしながら首を廻すと 窓の外の暗がりが 少しばかり白んで来ている事に気付いた。 どうやら長居し過ぎたようだ。

「すまない、人目に付けば悪い噂が立つ。私は、此処らで退散するとしよう」

「私は、少しも構いませんよ」

その言葉にスコルピオスは ドキリとしながらも なんとか心の動揺を隠し通す事が出来た。

「言いたい人には 言わせておけば良いのです」

言葉を続けたミーシャの顔には スコルピオスが見たことの無い 暗い影が見えた。

「此処に来ると つい気が緩んでしまうらしい、日頃の疲れのせいか 居眠りをしてしまった。すまない…」

何故かは分からない妙な居心地悪さを感じ急いで立ち上がろうとしたスコルピオスは、グラリと酷い眩暈に襲われた。 膝が崩折れそうになった彼を ミーシャが支えようとしたが その手をスコルピオスは、とっさに振り払ってしまった。

途端にガウッと一声ほえたプルーがスコルピオスに襲い掛かる。

「プルー!」

ミーシャが必死でプルーを引き離すと 傷ついた手の甲を押さえたスコルピオスがうずくまって居た。

「大変!すぐに手当てを…!」

「いや、大事無い…、私が悪かったのだ。そうだろう…?プルー」

そう言ったスコルピオスの目には 悲しげな色が浮かび、それが ミーシャの心を強く締め付けた。

「でも……」

「どうも私は、他人から身体に触れられるのが苦手でね…。すまない事をした」

二の句を接ぐ事が出来ずにいるミーシャを残し スコルピオスは、足速に部屋を後にした。

ミーシャの質素な部屋の中に居ると どうしても感じてしまう心を緩ませてしまう温かさ。 その呪縛から あの犬は解き放ってくれた。

「むしろ礼を言いたいくらいだ」

ズキズキと痛む手の甲は、思いの外 深手のようだが構いはしない、 あのままミーシャに触れられていたならば…、 余程 その方がゾッとする。

レスボスの巫女ミーシャには、余人には無い力がある。 スコルピオスも その目で見るまでは信じられはしなかったが 物に触れただけで その持ち主の素性をビタリと当てたり、それが何か特別な事象に関わった物ならば その事件を まるで目前に見るかのように感じられるのだ。

「よくも、あんな薄気味悪い娘の部屋へ 足しげく通う気になるものね」

真っすぐに何処までも続く回廊の柱の陰から 人影がふらりと現れ口を開いた。

僥倖も差し込まぬ闇の中にあっても それが誰の声かは、すぐに分かったスコルピオスは、まるで神殿に巣くう大きな黒い蝙蝠のように 一飛びで音も無く詰め寄ると 彼の猛禽の鉤爪ような節くれだった指を 声の主の細い首に食い込ませキリリと締め上げた。

「あまり人を驚かせるものではない…」

さらに指先に力を込めながらスコルピオスは、獰猛な笑みを浮かべ そっと告げると声の主フィリスは、息も絶え絶え震えながら、いや半ば痙攣しながら慈悲をこうた。

「ふんっ…」

溜息とも憤慨ともつかぬ一声を漏らすと 遊び飽きた玩具を放り出すように スコルピオスは、フィリスを突き放すと問い質した。

「…で、何の用だ」

フィリスは、冷たい大理石の床に膝を付き 押し潰されかけた喉笛から皺枯れた声を搾り出す。

「ご、め、んな・さ…い、 スコルピオス…」

「その名で呼ぶな! 私は、只の貿易商人アルギュロスだ」

スコルピオスは、再びフィリスを 残酷な笑みを浮かべながら睨み据えた。

………to be cootinued.
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