残念な時帰呼が綴る 残念な感じのON>OFF生活


総閲覧者数: 現在の閲覧者数:

2017/081234567891011121314151617181920212223242526272829302017/10


上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
こんばんわ 床に張り付いて生息する 驚異の蒲鉾人間 時帰呼です;;;

生憎の空模様で 地上からは 牽牛と織媛のイチャイチャッぷりが
観測できなくて 非常に残念ですが
天界のバカップルには 下界の眼を気にせずに済み
好都合の天気だったと言えるかもしれませんねWWW


七夕という事で こんな お話しはいかがでしょうか?

よろしければ どうぞ…(*^ω^*)


******



「殿下 殿下! 何処にお隠れですか?」

「オリオン! オリオン!」と呼ぶ声が 此処 暫くの間 聞こえない
いつもだったら 面倒な事は 御免だとばかりに 逃げ回っているオリオンだったが
こうなると 何だか心配になって 逆に殿下を探してしまう

まぁ 大したことはないだろうけれど 気になるものは仕方ない

勿論 宮殿から 少し離れた所に有る殿下の私室は 探したし
古今東西からかき集められた妖しい文物が収納された
いつもなら避けて通る 殿下のコレクションルームも覗いてみた

何処にも居ない・・・

思えば 殿下に拾われて以来(考えてみれば この自分自身も 殿下のコレクションなのかも?)
殿下の姿を 見ない日は ほとんど無かったはずだ
なにしろ 毎日 追い回され 訳のわからない趣味に付き合わされる日々
こんな生活は もう嫌だと思った日も 一回や二回ではないだろう

けれど 殿下が 何処にも居ない・・・

そういえば・・・ と オリオンは はたと気づいた

「けして 覗いてはならんぞ!」と 固く言い渡されていた扉があったのだ

普通の人間に そう言われれば 覗きたくなるものだが
殿下に 言われれば 想像を絶する どんな恐ろしいものが 隠されていたものか見当もつかない
人間 知らぬ方が良い事も 世の中には 沢山あるという事を 身をもって体験済みなのだ


       





昼なお 全ての窓が 閉ざされたスコルピオス殿下の私室の奥

恐る恐る 扉のノブに 手を掛ける・・

ギギギッ と 扉の軋む音

鍵も掛かっておらず 思ったよりもスンナリ開いたのが 逆に不気味だ・・


ひょいと 首を伸ばし 中を覗き込むと 薄暗い廊下があった
眼を眇め 薄暗がりに 眼が慣れるのを待つ
どうやら その廊下は それほど使われている気配も無く
所々に 蜘蛛の巣が張られ あたり一面に埃が うっすらと積もっている

足音を忍ばせ オリオンは 扉をくぐり 歩を進めた・・・

ギシリ ギシリ

一歩 一歩 足を下ろすたびに 僅かに軋む床の音に ビックリして飛び上がりそうになる
心臓は 早鐘のように 胸の中で 煩いほど鳴り響き
気づかぬ内に開いた口元からは 荒い息が漏れ 喉はカラカラに干上がっていた


ふと見下ろすと 何処からか差し込む光に浮かび上がって まだ新しい足跡が 真っ直ぐに続いていた

間違いなく 殿下は この奥に居る・・

長い廊下を 暫く進むと 囁くような 呻くような 不気味な声が聞こえだした

それは 聞き覚えの有る声・・

やがて目の前に もう一枚の重々しく大きな扉が現れた


オリオンは 黒光りするドアノブに 手を掛け 意を決して グイッ!・・と引き開けた


部屋の中には 光が溢れていた

暗闇に慣れた眼には 何も見えない ただ 殿下の声が 聞こえてくるだけだった 


「なんだ? オリオン何の用だ?」

驚く事に 目の前には 珍しくニコヤカに笑っている殿下がいた

「なにか用か?と 言われても・・此処はいったいなんですか?」

殿下を よく見ると いつぞや 苦労して手に入れた東洋の島国の民族衣装と言って自慢していた
確か・・ YUKATA=浴衣とか言う衣装を 身に纏っている
その手には 何やら 妖しげな文様が描かれた UTIWA=団扇とかいうものを持っていた

「なにやってんですか? 一人っきりで こんな所に隠れて・・」

「べつに 隠れていたわけではない 年に一度の今宵限りのチャンスに 精神を集中したかっただけだ」

団扇を パタパタやりながら 呑気な顔をして しれっと言う殿下

「先程から気になるんですが それは・・何て書いて有るんですか?」

「おお いい所に 気が付いた これはな・・MATURI=祭と 書いて有るのだ
祭りとは とある東洋の島国に伝わる 偉大なる神々を畏れ敬うための 摩訶不思議で神秘的な儀式のことだ!」

嗚呼 また出たよ 殿下お得意の 摩訶不思議で神秘的ってヤツが・・・

はぁ~ 溜息をひとつ吐き 頭をポリポリと掻きながら オリオンは後悔していた
要らぬ心配をして ようやく探し当てたのは いつもながらの東洋かぶれの殿下であった・・

これでは まるで 飛んで火に入るナントカヤラではないか・・

「これを 見よ!オリオン この見事な造形美を!!」

殿下が 指し示したのは 何やらデェフォルメされた動物を象った 陶器の置物のようであった

「なんですか それは・・」

あまり 興味はないが 突っ込んで聞いてやらないと 殿下の長い話が ますます長くなるだけだ

「よくぞ 聞いてくれた これはな・・ 神聖なる神の使いである動物の置物であろう!
見よ! この置物の中は空洞になっているのが 判るだろう
この中で ある種の香を・・ 私が思うに 大麻かアヘンのような薬物を入れ 焚くようになっているのだ
そして その幻覚作用を利用し 何かの妖しげな儀式を執り行うための 呪具に違いない」

殿下の言う 神聖な動物の置物は オリオンの目には ただの豚の置物にしか見えなかった

「そして こちらに 用意してあるのは 今宵一晩 一年で一度限りの最大最強の呪力を発揮する
恐るべき呪具 [鎖叉納覇沙羅沙良]だ!!!」

部屋の 中央に据え付けられた 大きな鉢からは 一本の大きな竹が生え
その竹には 数え切れないくらいの 小さな短冊が取り付けられている

部屋の天上には 大きな穴が開き 満天の星々と まんまるな満月の光が 室内に降り注いでいた

「東洋の島国では 天上で 天帝ゼウスにより引き裂かれた男女の双子の神が
一年で たった一度 特赦を受け 出会うという神話があるという」

「聞いた事がありませんね・・」

「黙って聞け オリオン 今いい所なのだ! ・・その特赦に 我々地上に生きる死すべきモノもあやかり
こうして呪具に短冊を掲げる事によって 願い事を天帝に聞いて頂こうという
少々 虫のいい神秘的で摩訶不思議な儀式 それこそが 七夕という祭りなのだ!!」

成る程 殿下がこっそり姿を隠して こんな事をやっていた 理由が 薄々わかってきた
実際の効果の程は 知らないが 全ての願い事を独り占めいしようとしていたらしい

「見つかってしまったモノは 仕方ない・・
オリオン お前にも 天帝に願い事をかなえていただく権利を ひとつだけ特別に分けてやろう
なにか無いか? オリオン 遠慮せずともよいぞ」

遠慮せずにと言われても 急には出てこない

「では まだ夜は長い 私の書いた願い事を参考にして じっくり考えるがイイ!」

そう言うと 殿下は 団扇であおぎながら 天空の星々に見入り 物思いに耽りだした


まあ たまには こういうのも良いだろう・・
オリオンは 笹に括り付けられた短冊を ひとつひとつ 手に取り読んでみた・・

よく見ると 比較的に新しい短冊や古びた短冊があるようだ
どうやら 今年の短冊ばかりではなく ずいぶん昔の物も 取り外されずにそのままになっているらしい

しかし 読んでみると どれもこれも ほとんど同じ文面が 書き記されていた


「せかいを すべる王になりたいです! スコルピオス 3才」


クスッ・・ オリオンは思わず 微笑んだ・・・

「なんだ? 何がおかしい?」

「いや 別に・・・」(ああ 彼らしいな・・・)



しばらくして オリオンは 取り付けられて間もないように見える 一枚の短冊を見つけた

それには こう書かれていた・・


「混沌たる戦乱に明け暮れる世を正し 世界を統べる王とならんことを 我は切に願う
いつの日か この地上に 王道楽土を築かん!
我が親愛なる友と共に! アルカディア王国王子 スコルピオス 此処に記す」


(きっと 君の夢は叶うよ・・)オリオンは そう呟くと 新しい短冊を手に取り 一文を 書き記した・・



「この身の全てを捧げよう  親愛なる君の夢のために・・・ アルカディア王国 弓兵隊隊長 オリオン」



そっと オリオンが短冊を取り付けると 天窓から吹き寄せた夏の夜風が 
星の数ほどのスコルピオスの夢と たったひとつのオリオンの夢を
サワサワと音をさせながら やさしく揺らした


・・・・・・七月七夕  了 

スポンサーサイト
 コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。